本イベント『Educators’ Summit for SDGs 4.7』は、2005年に国連決議で採択された「持続可能な開発のための教育(ESD)」、グローバル・シチズンシップ教育(GCED)、また、開発教育、異文化理解教育等、未来を共創する教育の実践と普及を通して、SDGsの実現を目指す仲間が集い、未来の教育についてビジョンを共有する場として、2017年に第1回目が開催されました。
第2回目の開催となる「Educators’ Summit for SDGs4.7 2018」では、定員を上回る200名近くの方にお集まりいただき、各分野の第一線で活躍する教育関係者による「Education for SDGs4.7」ライトニングトークを含めた全体会と、「SDGs4.7 OPEN LAB」参加者による授業実践の報告として、6つの分科会を設けました。以下、当日の様子をご報告いたします。
当日の様子(Long ver.)はこちら
Message
Opening
イベントレポート〜オープニング
イベントの前半は、ブリット記念ホールの大会場にて全体会です。
まず、GiFT代表理事の辰野が今回のサミット開催に至るまでのストーリーを紹介しました。「ワクワクしながら、たくさんの人に出会っていただき、たくさんのヒントと、そしてたくさん発信もしていただきながら、2030年に向けたSDGs教育を一緒に作れたらと思います。」という言葉とともに、全体会がスタートしました。
その後、文部科学省の国際統括官付(日本ユネスコ国内委員会事務局)専門官の徳留丈士氏からご挨拶がありました。 「SDGsの達成において、教育は非常に不可欠なものです。教育が中心になって、様々なSDGsの達成に寄与すると考えており、その中でもESDは非常に鍵となる部分であります。」と、『SDGsにおける教育の大切さ』や、これまでのESD推進から脈々とつながる教育と「持続可能な社会」実現への流れについてお話いただきました。
続いて、このサミットの会場である聖心グローバル共生研究所の副所長永田佳之教授からは、研究所の入り口に飾られているりんごの樹の壁画の製作にまつわるストーリーをお話いただきました。その上で、「この場にいろんな個性が集まることによって、ここから未来を一緒に創るきっかけになる」とメッセージをいただきました。
Lightening Talks
ライトニングトーク
「SDGsの中のSDGs4.7の役割」
ユネスコ バンコク事務所(アジア太平洋地域教育局)所長
青柳 茂 氏
青柳氏からは、これから大切になる学びの4つの柱「知ることを学ぶ(Learning to know)」「為すことを学ぶ (Learning to do)」「共に生きることを学ぶ (Learning to live together)」「人間として生きることを学ぶ (Learning to be)」と、ユネスコが大切にしている「Learning to transform oneself and the society(自分と社会を変革することを学ぶ)」についてお話いただきました。教育の形が変化してきている中で、学校という枠組みを超えた教育が増えてきていることや、知識を与えるというよりは、生徒どうしの対話を進める、ファシリテーター的な先生の役割がとても重要になっていくというお話がありました。
「メディアを通したSDGsの教育への普及」
朝日新聞社 マーケティング本部長
石田 一郎 氏
石田氏からは、SDGsがセクターを超えて課題解決のために果たしている役割について「ZEROマラリア2030キャンペーン2018」の例を挙げ、SDGsの17個の目標が相互に関連し合っていること、様々なパートナーシップで課題を解決していけることをお話いただきました。
また、どこにでもある新聞を使って、誰でも課題を発見し、その解決のためのアクションを考えることができるワークショップと、学校での取組み事例についてもご紹介いただきました。同じ記事でも異なる視点で読み、共有することで参加者同士が学び合うこのワークについては、今回の分科会レポートでもご覧いただけます。
「SDGs達成を目指した教育への支援」
国際協力機構 広報室 地球ひろば推進課 課長 齋藤 克義 氏
齋藤氏からは、JICAが行なっている開発教育や、国際理解教育、ESD、環境教育やグローバル・シチズンシップ教育をつなげるプラットフォームとしてのSDGs4.7の持つ可能性に言及され、「(これからもJICAは)色々な関係者と繋がり、次の新しいステージで何かできていけたらと思う。」とメッセージがありました。 また、それを推進するためにJICAが行なっている開発教育や国際理解教育支援のプログラムや、学校教育現場でも活用できる映像教材をご紹介いただきました。
「SDGs4.7 OPEN LABを通じたSDGs教育実践のインパクト」(SDGs4.7 OPEN LAB」事業報告)
(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)グローバル教育プロデューサー 木村 大輔 氏
<SDGs4.7 OPEN LAB 参加者>
[国内コース参加者]
奈良教育大学大学院(教育学研究科修士課程1年) 谷垣 徹 氏
[海外コース参加者]
大田区立大森第六中学校 教諭 町田 恵理子 氏
[海外コース参加者]
Coalition for Better Education (CBE) Executive Director Marilou Flores氏
『SDGs4.7 OPEN LAB』事業の成果報告です。
まずGiFTの木村が『SDGs4.7 OPEN LAB』事業の概要について説明をし、続いて3名の参加者がそれぞれの経験、学び、今後の展望について話をしました。
国内コース参加者の谷垣さんからは、既存の資料・素材を活用してSDGs教育の授業実践を行なうことの価値と可能性、そして教材が現場の先生と専門的な知識の橋渡しをしてくれているという実感についてお話いただきました。 海外コースに参加した町田先生からは、フィリピン・セブの先生とチームを組んで授業を作り上げるというチャレンジと、その過程で自分の中に芽生えたグローバル・シチズンとしての自覚と自信について力強くお話いただきました。 最後に、現地セブから参加したMarilou Flores氏からは、この事業を通じて生まれたセブの教育現場におけるSDGs4.7のインパクトと、今後のSDGs教育の普及・推進につながる事業計画について共有いただきました。
Selected Session
分科会
① SDGs × メディア
「大学英語教育におけるSDGs」
順天堂大学国際教養学部 助教 今井 純子 氏
「SDGs×グローバル・シチズンシップ×ジグソー法」
私立文化学園長野中学・高等学校 教諭 長田 里恵 氏
「新聞を活用したSDGsワークショップ」
朝日新聞社 マーケティング本部長 石田 一郎 氏
コメンテーター:朝日新聞社 マーケティング本部長 石田 一郎 氏
まず、今井先生と長田先生から、大学と中学でそれぞれどのようにSDGsの導入的位置付けの授業や取り組みを実施したのかについて発表がありました。
各先生が共通項としたのは、学生・生徒がまず「SDGsについて知り」、「自分ごととして捉え」、2030年に向けての「アクションプランを考える」へと結びつけることです。そのために、共通で取り入れた方法は協働学習を促進する「ジグソー法」で、新聞や動画などメディア教材も積極的に活用しました。発表に続いて、長田先生が実践したジグソー法を分科会参加者にも体験してもらうワークショップが行われました。限られた短い時間のワークショップでしたが、参加者のみなさんが一気にワークに引き込まれていったのが印象的でした。
分科会後半は、朝日新聞社の石田さんによる、新聞を使ったSDGsワークショップでした。グループに分れて、一つの記事(今回は、プラスチックストロー廃止についての記事)を読み、そこに書かれている内容と関連していると自分が思うSDGsのゴールを示し、グループのメンバーと共有していきます。同じ記事でも内容についての捉え方や視点が異なり、参加者同士の積極的な発言により、記事そのものやSDGsについての理解が深まった様子がうかがえました。参加者からは、このワークショップを通じて、新聞で扱われていることやSDGsをいかに「自分ごと」として落とし込むか考えさせられたとのコメントもありました。
新聞やメディア素材をSDGsの文脈に沿わせながら理解を深めていくという手法は、まさに「ジグソー法」として活用できるツールであることを参加者は体験することができた分科会でした。
② SDGs × ICT
「遠隔授業交流で実現するSDGs学習・SDGsを知る〜企業・自治体の活動を通して」
愛知県立時習館高等学校 教諭 青木 良輔 氏
茨城県立竜ヶ崎第二高等学校 教諭 髙山 雅子 氏
「グローバルワークショップ:ICTを活用したSDGs学習のデザインについて」
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 専任講師 前川 マルコス貞夫 氏
コメンテーター:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 専任講師 前川 マルコス貞夫 氏
分科会②ではまず、Skypeを用いて授業交流を行なった青木先生と高山先生による事例紹介がありました。普段実践している授業内容の解説の後、参加者は小グループに分かれ、企業/自治体それぞれのSDGs活動についての「調べ学習」行いました。続いて、実際にSkypeを使って意見交換を行うワークショップを体験しました。
後半では、この分科会のコメンテーターでもある前川マルコス貞夫先生の研究グループが行なっている、アプリを利用したSDGsへの取組みについて、ワークショップをふんだんに取り入れた発表がありました。これまでの研究プロジェクト「Global Kindergarten」や「KOMA Kids」の取組みや、その学びのプロセスについても解説いただきました。分科会の最後には、「Kahoot!」というウェブサイトを利用し、スマートホンと連携させながらSDGsに関するクイズに参加者全員で挑戦。参加者は、SDGs教育、そしてそのために使えるメディア・ICT教材の知識を、楽しみながら得ることができました。
③ SDGs × グローバル・シチズンシップ
「地球市民教育の社会科教育への導入に向けて~ファッション産業を題材に~」
京都外国語大学 国際貢献学部 講師 影浦 亮平 氏
立命館宇治中学校・高等学校 教諭 三上 真葵 氏
「グローバル・シチズンシッププロセスを使った共創型プログラムとは」
(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)シニア・ダイバーシティ・ファシリテーター 鈴木 大樹 氏
コメンテーター:玉川大学教育学部 教授 小林 亮 氏
分科会③では、SDGs4.7教育、特にグローバル・シチズンシップ教育を授業に導入していくとどのようなことができるのかということをテーマに、教科学習とSDGs教育の文脈を両立させる挑戦を行なった実践について、影浦先生と、三上先生からの報告がありました。お二人が取り上げたテーマは、学生たちが興味を持ちやすい「ファッション」。動画からファッション業界の実情を知るのと同時に、哲学という別の切り口から哲学者の考えについて繰り返し問う中で、自分の考えがどう変わっていくかというのを実感できるような時間を設けた授業でした。また、今回教材として取り上げたSDGs.TVのウェブサイトでは様々なテーマの動画が紹介されているため、教育現場でも使うことができる素材が沢山あり、分科会参加者の参考になったようでした。
分科会③の後半では、GiFTのシニア・ダイバーシティ・ファシリテーターの鈴木による、GiFTのグローバル・シチズンシップ(地球志民)プロセスに基づいたプログラムの紹介と、その根幹として大切にしているチェックイン、チェックアウトのミニワークショップが行われました。GiFTが数々のプログラムで実践しているワークとその意図について、参加者同士が3人1組でダイアログを繰り返しながら深めていく時間となりました。
④ SDGs × サステイナビリティ
「水から(自ら)世界を知ろう 〜いまわたしたちにできること〜」
玉野市立日比中学校 教諭 井本 亜希 氏
境町立境小学校 教諭 中村 高子 氏
「世界をサステイナブルにする波を起こそう!」(Let’s make waves to make the world sustainable!)
神戸大学附属中等教育学校指導 教諭 岩見 理華 氏
愛知県立刈谷北高等学校 教諭 山本 孝次 氏
コメンテーター:宮城教育大学教授、教員キャリア研究機構機構長、防災教育未来づくり総合研究センター長 市瀬 智紀 氏
分科会④では、「SDGs 4.7 OPEN LAB」参加者の2チームが発表を担当。前半は国内コースに参加した井本先生と中村先生による、「バーチャルウォーター」を取り上げた授業の報告と、授業で行なったカードを使ったバーチャルウォーターを学ぶ体験ワークショップが行われました。バーチャルウォーターと身近な料理を関連づけて考えるワークでは、カードを使ったり、会話をしたりしながら理解を促す工夫について、参加者にとっても様々な発見がありました。
後半は海外コースに参加した岩見先生と山本先生が、フィリピン・セブの高校生を対象に行なった水不足について考える授業の報告と、実際に行なったワークを実施。チームに分かれて水不足について考えてもらうダイアログ型のワークショップを行い、「水不足になると、どのようなことが起こるのか」「それを防ぐために自分たちには何ができるのか」といった、自分に引きつけて考える対話の重要性を体感した時間となりました。
⑤ SDG4.7教育 海外事例紹介
「SDGs4.7 OPEN LAB in Cebuでの実践とその後のインパクト」
Coalition for Better Education (CBE) Executive Director Marilou Flores氏
広島県立府中高等学校 教諭 永末 順子 氏
大田区立大森第六中学校 教諭 町田 恵理子 氏
コメンテーター:
上尾市立東中学校 グローバル・シチズンシップ科研究主任 松倉 紗野香 氏
(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)グローバル教育プロデューサー 木村 大輔 氏
「SDGs4.7 OPEN LAB」海外コースに参加した永末先生と町田先生、そしてセブから来日したMarilou Flores氏による分科会⑤では、まず、セブでの「OPEN LAB」プログラムの経験談と学びの共有がありました。日本国内での研修でどのようにして自分ごとになるテーマを選んでいったのか。そして、セブの現地に入ってから現地メンバーとチームとなり、どのようにテーマに対する理解を深め、授業実践を行なったかという経験談がありました。さらに、現地の教員志望の大学生を対象とした「SDGs教育のレッスンプランを作るワークショップ」の様子の報告として、WHY-WHAT-HOWの3つのポイントを自分に引きつけて授業を考えることで、学生たちが「自分の手が届くSDGs教育」について考えるきっかけになるのだという発表がありました。
分科会後半では、セブで実際に行なった環境ワークショップ(エコ・コンシューマーとしての気づきを促し、行動変革を呼び起こすワーク)を英語で実施し、ワークで使ったツールの背景にある仕掛けや意図についての解説も行いました。Marilou Flores氏からはセブ現地の教育現場の共有も含めて、『SDGs教育において、クラス内で完結する学びではなく、社会や家庭へも繋がるような学びであること』の大切さ、そして、『難しくても仲間を見つけて小さな一歩からでも始めること』の価値について、熱いメッセージが送られました。
⑥ SDGs4.7 OPEN LAB ワークショップ
「What is happiness?〜自分と誰かの「宝物」から、みんなの「幸せ」のために大切なことを考えるワークショップ〜」
國學院大學久我山中学高等学校 教諭 岸本 直子 氏
奈良教育大学大学院(教育学研究科修士課程1年) 谷垣 徹 氏
「栄養教育」
筑波大学大学院(教育研究科教育学修士課程1年) 泉澤 慧 氏
湘南学園中学校・高等学校 教諭 小倉 知子 氏
「日本とフィリピンの中高生にとってのSDGsリアル」
認定NPO法人箕面こどもの森学園 教諭 高原 麗奈 氏
追手門学院中学校・高等学校主幹 教諭 田橋 知直 氏
「人生で大切なことはSDGsから学んだ」
岐阜市立境川中学校 教諭 野村 佳世 氏
立命館守山中学校・高等学校 教諭 由谷 晋一 氏
コメンテーター:国際協力機構 広報室 地球ひろば推進課 課長 齋藤 克義 氏
4つのチームが「OPEN LAB」でのそれぞれの取組みを共有した分科会⑥。まず、「幸せ」「栄養」「難民」「人生で大切なこと」など、各チームのテーマと実践した授業の概要を紹介。その後、4つのグループに分かれ、授業の内容や進め方、生徒の反応など具体的な報告と、授業の一部を体験するワークショップの時間となりました。
岸本直子先生と谷垣さんは、「What is Happiness?」というテーマで國學院久我山高校の一年生を対象に協働で授業を行い、その実践内容について報告をしました。授業において、生徒たちは「自分にとっての幸せとは何か?」を考え、次に自分以外の人が考える幸せや、そのために大切なことをステップを踏みながら考えました。より、リアルに「世界にいる、自分以外の様々な人たち」の存在を感じ、自分とは違う視点からの「幸せ」を知るために、フィリピン・セブの同年代の生徒たちが自分にとっての幸せを紹介する動画を活用したことも紹介されました。分科会では、参加者も自分にとっての「幸せ」や「大切なこと」「宝物」を書き出すワークを体験し、共通している「幸せ」、異なる「幸せ」について共有するワークを行いました。
泉澤さんと小倉先生は、SDGsと「栄養教育」との関連性を説明した上で、セブの中学生に行った「栄養教育」の授業の様子を、現地の生徒たちが書いたワークシートも共有しながら報告しました。セブでは生徒達に理想的な食事とそうでない食事を考えさせたり、また、視覚的に情報を取り入れられるように、ペットボトル飲料に含まれている砂糖の量を見せるなどの工夫をしました。分科会の参加者にも「生徒が日常的に自分の食生活を改善できるようにする具体的な指導プラン」を一緒に考えてもらい、栄養教育についてともに考え意見交換を行いました。
高原先生と田橋先生は、「難民問題と質の高い教育」をテーマに、セブの高校生を対象に授業を実施しました。セブの先生との協働して授業を作る過程での挑戦や葛藤、そして実践から見えたことに加え、その経験を踏まえて、自身が勤務する学校でも実践した授業についても報告がありました。生徒たちが世界の同世代の仲間のリアルを映像や作品を通じて体験・体感することで世界に目を向け、そして行動宣言をする機会としての授業を作ってみての今後の展開や課題についても、分科会参加者と率直にディスカッションをしました。
野村先生と由谷先生は、「人生で大切なこと」をテーマに、セブと日本で授業を実践しました。セブでは、自分にとって大切なものを仲間と共有するワークショップ型授業を実践。社会で大切にしたいことを自分ごとに引きつけて考えることがねらいです。その後、それを発信するメッセージアルバムを作成(動画撮影)しました。それらを今度は日本での授業の素材として活用し、「日本にいる自分」と「フィリピンの生徒」が考える幸せや大切なことを「レーダーチャート」に落とし込んで比較するなど、SDGsと自分を関連付けて、生徒自らが考える授業にどう展開されたかなどをお話されました。
4チームのワークショップの後には国際協力機構の齋藤さんより、それぞれのテーマの特徴や海外での経験や海外の素材を活用する価値などについてコメントをいただきました。
参加者からは「SDGsの授業で幸せをテーマにしたことがすごい、幸せになるためにSDGsがあるので、それを授業で扱っているというのはすごいことだと思った」「価値観、人生観に触れるような授業の内容、掘り下げていく問いを投げかけられる体験で、実際にSDGs教育を具体的にイメージすることができて気づきが多かった」といった声が聞かれました。
Reflection
振り返り
分科会終了後は、参加者全員がブリット記念ホールに再び集まって、学びの共有の時間をとりました。
GiFTの鈴木のファシリテーションのもと、小さなグループで分科会で得た気づきや学びを共有し、更に全体でも共有しました。
会場からは「SDGs、共通言語とプラットフォームという言葉が印象に残りました。自分としてもSDGsをきっかけにして、いろいろな方と関わる、色々な方と授業をしていく、色々な方と活動に参加していく、そういったきっかけにしたいと思いました。」「SDGsって聞くと、高尚なこと、世界を変える力が自分にあるのかな、ってすごく大きく思っていたけれど、今日のイベントでSDGsがすごく身近になった。」といった声が聞かれました。
その後、一人ひとりが未来への実としてりんごの形の付箋にメッセージを書き、それを会場内に用意したりんごの木のイラストに貼ってりんごを実らせることで、未来に向けたメッセージを作り上げました。
最後に本イベントの総括として、宮城教育大学教授、教員キャリア研究機構 機構長、防災教育未来づくり総合研究センター長の市瀬智紀氏から「SDGs4.7 OPEN LABで国を超えた事例に触れることができたこと、教科の枠組みを超えた先生方の協力の事例を知ることができたこと、そして今日は企業の方もいらっしゃっていて、領域を超えて取り組んでいく可能性に触れることができました。国も教科も分野も超えてやっていく。それが唯一、17のゴールを解決していくことに繋がっていくのではないかと思う。」というコメントをいただき、本イベントを締めくくりました。
Special Lecture
特別講演&懇親会
<特別講演>
「SDGs実現に向けたオリンピックと教育」
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
PRセクレタリー兼役員室特命担当部長 河村 裕美 氏
冒頭、河村さんは、ご自身が様々なことにチャレンジしたり、こんな取り組みをしてみたいと思うときの原動力は「シンプルに、ハッピーな世の中に、良い社会にしたいということ」と、情熱あふれる笑顔で述べられました。
東京オリンピック・パラリンピックとSDGsの大きなつながりとして、同組織委員会が2018年11月14日に国連とSDGsに関する包括合意を結び、これはオリンピック史上初であることをご紹介くださいました。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とスポーツ庁がパートナーシップを締結し、スポーツを通じてSDGsを推進するムーブメントが高まっていることについても触れられました。
これらについて、河村さんは「人々が(SDGs達成目標の)2030年に向かって動いていくようにするためには、共感、共鳴、芯があるプロジェクトを立ち上げないといけないと思う」と、ムーブメントをムーブメントだけで終わらせないための考えを共有してくださいました。そして、これからいろんなプロジェクトが立ち上がる中で、「ビジョンが、みんなが、一つの方向に向いていることが大事」ともお話されました。
ご講演の最後には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで発信される「スポーツ×SDGs」が、その後のパリ大会、ロサンゼルス大会にも引き継がれ、そして2030年の冬季オリンピック・パラリンピックが札幌開催となったら素晴らしい流れになると、未来への夢も語ってくださいました。
Voice
参加者の声(アンケートより抜粋)
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様々な分野の方々が参加されていて驚きでした。SDGsの理解を深め、これからの教育につなげていきたいと思いました。学校をあげて現在実行していることに加え、もっと課題を見つけようとする生徒の主体性を育てたいと強く感じました。未来を生きる力をつけてあげたいと改めて感じます。(教職員)
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・授業の中で使える活動を共有していただきありがとうございます。自分一人ではアイデアが思いつかないと悩んでいたところ、この会に参加して多くのアイデアを学ばさせていただきました。(教職員)
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伝えたい人に寄り添って教えていくことの大切さを学んだ。年齢もバックグラウンドもそれぞれなので、その中でも持続可能なものになるように相手に寄り添って一緒に考えながら伝えていくことが大事だと思った。(学生)
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新しい学習指導要領では「持続可能な社会/開発」という言葉が多く表記され、教育現場においてSDGsは必須であるということを学んだ。(学生)
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官民を挙げての取り組みがすでに始まっている。考えて行動を起こす素材は身近にあり、どう実行に移していくか、どう自ら行動するかが肝心。(団体職員)
-
SDGs自体よく知らなかったのですが、SDGs4.7の具体的な事例を学べて、より身近に感じました。私の仕事もメディアで伝えることなので、教育現場でメディアが使われ、SDGsの理解に一役買っていると知り、私にもできることがありそうだなと思いました。(会社員)
Exhibition
展示
当日は会場内にて、協賛企業(大日本印刷株式会社 様)によるSDGsに関するオススメ本や、SDGs教育に活用できる教材の展示スペースを設けました。
参加者は、開会前や休憩時間などに気になる本を手に取ったり、写真に収めたりしながら、自身が関わる教育現場への活用のヒントを得ていただきました。
About
開催概要
日時 | 2018年11月25日(日) 13:00〜18:00(サミット) 18:30〜20:30(懇親会) |
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会場 | サミット:聖心女子大学聖心グローバルプラザ 東京メトロ日比谷線「広尾駅」より徒歩3分 懇親会:聖心グローバルプラザ CAFÉ JASMIN |
参加費 | 無料 |
主催 | 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) |
共催 | 文部科学省/日本ユネスコ国内委員会、 聖心女子大学グローバル共生研究所 |
協力 | 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 |
後援 | ユネスコ アジア太平洋地域教育局(UNESCO Asia and the Pacific Regional Bureau for Education) 外務省、国際協力機構、ESD活動支援センター、関東地方ESD活動支援センター、 NHKエデュケーショナル、朝日新聞社、 Coalition for Better Education (フィリピン)、WAKUWORK Foundation Inc.(フィリピン) |
協賛 | 大日本印刷株式会社 |