ソニー株式会社 グローバル人材開発部門 部門長 岸本治氏


 留学で身につくグローバル=多様性に適応する能力は、 大きなメリットになる

ソニー株式会社 グローバル人材開発部門
部門長 岸本 治

ごく自然に進められてきたソニーのグローバル化

事務局:はじめに、ソニーの考えるグローバル人材についてお聞かせください。

 岸本氏:ソニーでは、1960年にアメリカ、続いてヨーロッパにも拠点を作り、1980年代の半ばには“グローバル・ローカリゼーション”、すなわちグローバリゼーションとローカリゼーションの両立、人事面においては世界各地域のトップは基本的にその国の人が務めるべきという考えのもと組織を作ってきました。仕事ができるかどうかが最大の基準であり、国籍は関係なく、以前から当たり前のようにグローバル化が進められてきました。

そのソニーが求めている将来のリーダーは、エレクトロニクスのみならず、エンターテインメントやファイナンスも含めた異なる分野の全ビジネス、そして、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インドと世界各地にまたがるソニーをリードし、トータルでマネジメントできる人です。私の部署では、この次のリーダーを育成するという大きな役割を担っています。

大学4年間の過ごし方で社会人スタート時に差がつく

事務局:最近の大学生に対する印象はいかがでしょうか。

 岸本氏:バラエティに富んでいると感じています。それはおそらく、大学が留学プログラムを実施したり、公募制のプロジェクトを組んだりと、学生に対してステップアップのチャンスをたくさん作っているからだと思います。そういった情報をつかみ、自分から行動を起こしている人は確実に能力を伸ばしていて、昔と比べてそのレベルがかなり上がっています。また、何も目的を持たないまま4年間を過ごした学生との差も、大きく開いているのが良くわかります。
あらゆる国籍や経験を持つ人が集まっているソニーでは、社内の多様性に適応する能力が求められます。価値観や背景の多様性を理解し、マネジメントしていくことは難しく、身につけにくい能力です。それは、経験に準拠する能力だからです。留学した経験があると、例えば自分とアメリカ人、自分とドイツ人の違いを理解した上で、様々な局面においてスムーズに対処できます。私が留学を勧める理由は、これが自然と身についていることがメリットであり、社会人として大きなアドバンテージになるからです。

学生の本分である「勉強」をしてほしい

事務局:最後に、大学生に向けてメッセージをお願いいたします。

 岸本氏:学生に対して何を望みますかと聞かれることは多いのですが、シンプルにひと言、「勉強してほしい」です。自分の専門をのめり込むように勉強した経験はとても大事ですし、必ず役に立ちます。海外で面接をすると、「こんなに勉強しているのか」と感動することがあります。やはり学生の本分は勉強。その上で、スポーツや社会活動といったことが付加されると素晴らしいと思います。
勉強はものすごく苦痛なことで、その苦痛を通して力を身につけているか、学んでいくプロセスを知っているかどうかは大事なポイントです。企業はその点をきちんと評価すべきであり、ソニーでは重要視しています。元々は技術の会社ですから、エンジニアが勉強して、どれだけ能力を身につけたかが会社への貢献度に関わるため、その考え方が今も続いているのだと思います。

事務局:貴重なお話をたくさんありがとうございました。


岸本 治
1986年ソニーヨーロッパ ダイレクター(人事担当)、1995年ソニー(株)社員部統括部長、2000年ソニー企業(株)執行役員、2002年ソニー(株)モバイルネットワークカンパニー人事部統括部長、2005年ソニーチャイナ バイス・プレジデント、2008年ソニー(株)人材開発部統括部長を経て2010年グローバル人材開発部門部門長。現在に至る。