「Educators’ Summit for SDG4.7 2019 -for Fostering our Global Citizenship-」は、今年度で3回目の開催となり、小学生〜大学生、一般のみなさま約150名がお集まりくださいました。当日は10代から30代の6名による「Education for SDG4.7 ライトニングトーク」を含めた全体会と、2030年のSDGs達成に向けた“感性”を探る5つの分科会を設けました。以下、当日の様子をご報告いたします。

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Message

辰野 まどか
 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) 代表理事

SDGsは2015年に国連サミットで採択されました。2019年現在、SDGsは、教育現場はもちろんのこと、政府、自治体、企業、NGOなど、それぞれの現場において推進されています。SDGs採択から4年が過ぎ、社会における認知度も高まってきた今だからこそ、ここで一度立ち止まって、一番の基本的なところからSDGsを捉えたいと考えています。

今回のサミットの大きなテーマは、「SDGsネイティブの感性とその育成」でした。

前半では、“2030年の価値観”に最も近い感覚を持つであろう“SDGsネイティブ”と呼ばれる10代、20代、30代の若者の感性と活動から、SDGs達成の行動を生み出す“2030年の価値観”を探り、そして、SDGsの達成に向けて、価値変容を促すSDG4.7の教育とは何なのかを深耕しました。後半の分科会では、2030年のSDGs達成に向けて、私たちはどのような価値観を持ち、そのための感性をどう育んで行くのか、感性やクリエイティビティ、ワクワクを扱う場を体験いただきました。

このサミットを通して、「SDGs x 教育」に思いのあるみなさまと未来へ向けた教育を感じ、共に深め、広めていけたらと願っております。

Opening

イベントレポート:オープニング

イベントの前半は、聖心女子大学聖心グローバルプラザのブリット記念ホールにて全体会です。
まず、GiFT代表理事の辰野が、本イベントのテーマ「SDGsネイティブとその感性の育成」について、また、平和と持続可能性のビジョンに基づいた態度や行動変容を促す教育を示しているSDG4.7への思いを共有しました。

「このサミットを頭で考える場ではなく、感性で世界をよりよくしていきたいと感じていける場にしたい。世界とつながる前に、まずは自分のわくわく、どきどき、もやもやとした感情とつながってほしい」という言葉とともに、志を重ね合わせて未来をつくることの可能性についてお話しました。

続いて、今回共催いただいた聖心女子大学グローバル共生研究所副所長の永田佳之教授からは、気候変動、女性、社会的弱者にも焦点を当てた展示「BE*hive」についてご紹介がありました。

また、永田教授が参加したユネスコ総会で議題に上がった、”ESD for 2030”の中で明記されている、”Citizenship in Action”という言葉についても触れられ、「国際的にも先行して開催されているこのようなイベントで、ぜひ熱く語って、存分に楽しんでいただきたいし、私も一緒に学びたいと思っています」と応援メッセージをいただきました。

Lightening Talks

ライトニングトーク

「全ての人は社会人になれる」

聖学院中学校3年/学生団体SustainableGame代表
山口 由人 氏

小学生の頃からドイツに住んでいた山口さん。現地で社会的ハンディギャップがある人々に対して、自分はなにもできない、と感じたことが、今の活動の原点になっています。日本に帰国後、様々なSDGsワークショップに参加する中で、「SDGsを共通言語に色々な人と出会うことができる。SDGsは自分の世界観を広げることができる“遊び道具”である」と気づき、中高生発のSDGsアクションをどんどん生み出したいという想いから、学生団体SustainableGameを立ち上げました。「社会を意識した段階で、皆社会人。地球を意識した段階で、地球人である」「愛を持って社会につっこんでいく人になろう」と語る山口さんのトークに、会場全体が一気に引き込まれました。

 

「一人一人の力が変化を生み出せる」

都立国際高校3年/国際環境NGO350.orgボランティア/学生団体CUETOKYO共同設立者
酒井 功雄 氏

「アメリカへ留学に行くまでは、環境保護については知っていたけれど、どこか遠くの世界のことと思っていた」と語る酒井さん。留学中に環境科学の授業を受けた際に気候変動と地球の未来に危機感を感じ、「自分の未来が危ない」と、こわくなったとのこと。「自分が危機感を持っていなかったのは、十分な情報がなく、危機感を感じている人が周りにいなかったから」という思いを抱き、気候変動を抑制するための行動を呼びかける活動を続けています。「気候変動は僕たちの未来の時代、大人の方々にとっては、自分の子供の世代の話。」「よく、周りからは『頑張ってね!』と言われるけれど、全ての人の生存に関わってくるので、一緒にがんばりましょう!」と真っ直ぐに訴える酒井さんの熱いエネルギーが、会場の全体に広がりました。

 

「平凡な女子大生が世界と向き合うキャリアに踏み出すまで」

TAKE meファウンダー/MAD Travel ジャパンマネージャー
大野 雛子 氏

2017年と2018年、このサミットには運営スタッフとして参加していた大野さん。大学時代に参加した東洋大学×GiFTの「Diversity Voyage」プログラムでフィリピン・セブに渡航。貧しい暮らしをしていた現地参加者の女の子と親友になったことが、彼女が世界とつながるきっかけでした。卒業後、フィリピンをフィールドにソーシャルツーリズムやサステナブルツーリズムの分野で活躍する傍ら、プラスチックストローを使わないムーブメントとして、約700回使用可能な竹ストロー「TAKE me!」を販売。今の時代は自分の興味・関心に応じて人とつながり集う、いわゆる“コミュニティ”を作ることができるが、それ以外の“コミュニティ”に関心が湧きにくいことを問題視し、「人々の分断が起きている。人と社会の分断をなくしていき、みんなで社会課題を解決していきたい」と、一緒に踏み出したい想いを語りました。

 

「これからの土とキャリアのあり方」

株式会社タネノチカラ 代表取締役
金子 大輔 氏

淡路島で耕作放棄地を活用した共創プロジェクトを行なっている金子さんは、「“循環“と“多様性”のある社会を”共創”していくことが、次の社会で大切なものである」と語ります。食料、衣料、建物、水、全てのものは、もとを辿れば土からできており、その土の寿命はあと60年と言われているとのこと。「自分が口にする食べ物が、どうやってできて、どこから来ているのかが分からず、情報が点でしかない」という現状を打開すべく、一から土を耕し、人々が一緒に土地を復活させていくプロジェクトを立ち上げました。地球とのつながりを肌で感じることができるような活動を広げていきたいという想いが共有されました。

 

「未来に向けたピースクリエイション」

An-Nahal 共同設立者
白幡 香純 氏

「みなさんにとってPEACEとは何ですか?」という問いから始まった白幡さんのトーク。学生のときに参加した次世代リーダープログラムで出会った友人が、その後、日本で難民として生活しているという事実を知ったときの衝撃が、現在の活動の原点でした。「芸術は何が正しくて、何が間違っているということはない。芸術は人と違えば違うことをして褒められるもの」という考えをヒントに、「アートやデザイン、クリエイティビティで平和をつくれないかという気持ちが生まれてきた」と笑顔で語る白幡さん。外国籍の人々が自身の特色を生かしてキャリアを創ることや、多様な人財を原動力として新しい未来を共創していく社会を実現させるために立ち上げたAn-Nahalへの熱い思いと、多彩な人々とワクワクした場をつくる喜びが伝わってくる時間でした。

 

「Global Teacher Prize ファイナリストまでの道」

立命館小学校教諭「Global Teacher Prize 2019(グローバル・ティーチャー賞)」トップ10に選出
正頭 英和 氏

世界の優れた教師に授与され、教育界のノーベル賞とも言われる「Global Teacher Prize 2019」のTop10にアジア人で唯一選出された正頭さん。21歳でアメリカを訪れたとき、行動力の差で人の能力が変わってくることを実感したとのこと。今、英語教師として大事にしているのは「教育という観点から、行動を起こせる人材をどう育成できるか」ということであり、学力よりも行動力が重視される時代がきていることを強調しました。 「10年前と10年後。勉強する内容は変わらないが、勉強する意味が変わってくる。自分が得た知識を行動にどういかしていくかが大切で、これからは学んだことを受験のために使うのではなく、“自分自身がかなえたい未来のため”に使う時代になってくる」という言葉が印象的で、教育現場を新たな視点から見つめ、よりよくしていくヒントをいただきました。

 

Dialogue&Workshop

ダイアローグ&ワークショップ

この時間では、会場で新たに出会った人とチームになって未来を考える「THE THING FROM THE FUTURE」というゲームを体験しました。

このゲームは、未来に起こり得ることを思索しながらイメージする「スペキュラティブデザイン」という手法に基づいて開発されたもので、GiFTダイバーシティ・ファシリテーターの木村と、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の前川マルコス貞夫先生がファシリテーションを担当しました。

参加者はカードに書かれた様々なキーワードを使い、2030年の未来をクリエイティブに想像していきました。例えば、「ロボット」「芸術品」「尊敬」というキーワードが与えられたチームは、 “ロボットが芸術品を創り出し、人々がロボットを尊敬し始める世界“を想像するなど、日常とは異なる視点で未来を想像する時間に、会場はわくわくと盛り上がりました!

Group Session

分科会

① SDGs × SMALL WORLDS

「SDGs x Social Investor 〜世界のどこにいても自分ができることを「実行」し「貢献」するSocial Investorsになるには〜」
SMALL WORLDS教育委員会
竹村 真紀子 氏/小宮山 利恵子 氏/羽根田 智子 氏

SMALL WORLDS教育委員会による分科会①では、まず竹村さんから、子どもたちが学べる“エデュテインメント・テーマパーク”として2020年4月にオープン予定のミニチュア・テーマパーク「SMALL WORLDS」についてのご紹介がありました。続く小宮山さんは「AIと共存するためには?」をテーマとして、テクノロジーと教育を追求すればするほど、五感を使うことが大切になってくること、立ち止まって観察すること、体験することの大切さを強調されました。

分科会の後半には、自分ができることを実行し、貢献する力と意思を持った、Social Investorsになるために必要なマインドセットを考えるワークショップが行われました。参加者は、自分の軸を持つこと、優先順位を持つことについて考えを深めると同時に、自身の強みと弱みを知るきっかけをつかみ、とてもインスパイアされました!

 
 

②SDGs × マインドフルネス

「自身が持続可能な世界の一部となるために」
かえつ有明中・高等学校副教頭 佐野 和之 氏
東京大学大学院教育学研究科院生 金井 達亮 氏

子どもの人間性を育むための手法として、マインドフルネスのエッセンスを生徒指導や教員育成に取り入れている佐野さんと金井さん。参加者たちは「座る」「食べる」「歩く」という動作に意識を向けつつ、自分の呼吸や感覚を一つひとつ丁寧に味わいました。マインドフルネスになることを特別に意識するのではなく、日常生活の中で体験してみた参加者からは、「自分の感覚に集中して向き合うことで振り返りの時間になった」という気づきが共有されました。

「今」に意識を向け、自分の内面に気づき、あり方を見つめ直すことが、教育現場でも大切になってきています。

③ SDGs × グローバル・シチズンシップ(世界をよりよくする志)

「GiFTは、いかにグローバル・シチズンシップ(世界をよりよくする志)を育成しているか」
一般社団法人 グローバル教育推進プロジェクト (GiFT)
シニアダイバーシティ・ファシリテーター  鈴木 大樹 氏

GiFTシニアダイバーシティ・ファシリテーターの鈴木による分科会③では、GiFTのプログラムの根幹となる “グローバル・シチズンシッププロセス”と“ストーリーベースド・ラーニング”をご紹介。「物語を共有することで、共感して、自分ごと化すること」「プロジェクトで参加者に向き合わせたいのは、課題ではなくて自分自身」という言葉とともに、対話することや問いを持つこと、自分と向き合うことの大切さについての話がありました。

また分科会の最初と最後にはGiFTが特に大切にしている“チェックイン”と“チェックアウト”を通して参加者同士の気持ちの共有を行い、自分自身に向き合うことの価値を体感する時間となりました。

④SDGs × Global Teacher Prize Finalist

「ゲーム(マインクラフト)を活用した授業~コミュニケーション力を育てる~」
立命館小学校 教諭 正頭 英和 氏

ライトニングトークに引き続き、立命館小学校教諭の正頭さんによる分科会④では、「これからの子どもたちに重要なのは、選択肢を選べる力ではなく、問題を発見する力である」こと、「子どもを“育てる”のではなく、いかに子どもの能力を奪わないかを考えていく必要がある」というお話がありました。参加者の中には現役の教員の方も多く、どのようなことを体験させると、子どもが成長するか?という正頭さんからの問いに対して、教育現場で実践するためのアイディアを活発に共有し合う場面もありました。

また、数々のメディアにも取り上げられているマインクラフトを活用した英語の授業の取組み方について、参加者からの質問が止まりませんでした。

⑤SDGs×EGAKU〜STEAM教育におけるARTの可能性

「私たちは未来を描き、創り出すことが出来る」
株式会社ホワイトシップ代表取締役社長 / 9201 Gallery ディレクター / 特定非営利活動法人 E-lab 理事 長谷部 貴美 氏

「人々を分断するのではなく、共感し、想像して創造する力を養うにはどうしたら良いか」をテーマに活動されている長谷部さんから、学校や企業でも実施している、アートを活用して未来を描くプログラムの紹介がありました。

参加者は実際にアート作品を鑑賞するワークも体験。ワークを通じて参加者一人ひとりの感性が共有されました。そこから、一つの事象に対してもいかに多様な視点が存在するのかや、だからこそ相手の立場に立って考えることの大切さを、参加者は「アート」という形を通じて改めて深く認識できました。年齢、性別、国籍が全く関係ないアートの可能性を感じる、深く豊かな時間となりました。

Reflection

振り返り

分科会後の「振り返り」の時間は、GiFTシニアダイバーシティ・ファシリテーターの鈴木が担当しました。この日学んだことや持ち帰りたいと思ったことについて、グループで対話を深める時間です。 「自分とのコミュニケーション力を高めたい。自分がどうしたいかを考える時間をとりたいと思った」「これから挑戦する留学から帰国したら、参加型のイベントを開催したい」など、今後取り組みたいことを共有してくださる人や、 「小さな一歩で良いと思った。“(学びを)持ち帰る”のではなく、今やること。今日帰るまでに一つでも何かやっていけば、行動になると思う」と、この瞬間から行動に移していくエネルギーを会場全体に伝播させてくださった方もいました。

「SDGsネイティブの感性とその育成」をテーマに開催した今回のサミットは、まさにSDGsネイティブのみなさんの言葉に参加者が多くの刺激を受け、語り合い、行動を起こす大切さを再確認できた時間となりました。志のあるみなさまと共に2030年の価値観を探り、未来を描くことができました。ご一緒してくださったみなさま、応援したくださったみなさまに、GiFT一同心より感謝申し上げます。

Voice

参加者の声(アンケートより抜粋)
  • まず、中3の私でもできることを小さいことからでもやっていこうと思ったし、社会に出るには年齢も何も関係ないと思えたので、様々なことに挑戦し、努力しようと思えました。(中学生)

  • 意外に沢山の人が自分と同じ思いで、世界を良くしたいと思っていることに気がついた。行動しなければ、と焦っていたけれど「知る」ということも行動なんだと実感できた。(高校生)

  • 学生や高校生が多いことに驚きました。スピーカーの一人ひとりの話を聞くたびに、参加したいと思わせる世界観があった。自分にも自分しかない世界観を描き出したい。(大学生)

  • I am the earth, the earth is myself. 自分の行動が、自分に返ってくるように地球に影響すると実感しました。忙しい日々の中でも自分の環境、世界のこと、そして自分自身のことを、今いる人々と学び、成長していきたいです。(教員)

  • 官民を挙げての取り組みがすでに始まっている。考えて行動を起こす素材は身近にあり、どう実行に移していくか、どう自ら行動するかが肝心。(団体職員)

  • 行動を起こすのに、若いも何もないということに改めて気付かされた。若い世代の方に刺激を受けなければ、意味がないと感じました。(会社員)

About

開催概要 
日時 2019年11月23日(土・祝) 13:00〜18:00(サミット)
18:30〜20:00(Meet Up)
会場 サミット:聖心女子大学 聖心グローバルプラザ
東京メトロ日比谷線「広尾駅」より徒歩3分
Meet Up:聖心グローバルプラザ 2F アクティビティスペース
参加費 一般 2,000円 / 学生 無料(登録時に明記の上、当日受付にて学生証をご提示ください) 
(Meet Up参加費: 1,000円)
主催 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)

〒141-0021 東京都品川区上大崎2-15-19 MG目黒駅前ビル2F
Tel: 03-4540-1203 Email: info@j-gift.org 

共催 聖心女子大学 グローバル共生研究所
後援 文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、外務省、独立行政法人国際協力機構
ESD活動支援センター、関東地方ESD活動支援センター、NHKエデュケーショナル、朝日新聞社
協力 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
協賛 ウォーター ドラゴン 財団(Water Dragon Foundation)
お問い合わせ
(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)
Tel: 03-4540-1203 E-mail: info@j-gift.org
© Educators’ Summit for SDG4.7 2019