About
Educators’ Summit for SDG4.7について
「SDG4.7 × これまでの10年 ここからの10年 」
Educators’ Summit for SDG4.7は、SDGsに向かう志を育む場として、2017年から開催しています。コロナ禍でのオンライン開催を経て、2022年は聖心女子大学の聖心グローバルプラザで、再び対面での開催が実現しました。当日は高校生や大学生、そして教育関係者を含む一般の皆さま約50名にお集まりいただきました。
今回のテーマは、「 SDG4.7 × これまでの10年 ここからの10年 」でした。
今から10年前の2012年6月に、ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議」(「リオ+20」)が開催されました。そこで、「我々が望む未来(The Future We Want)」という成果文書とともに、SDGsを採択することが打ち出されました。その後、SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択されています。
その時から10年が経ちました。
私たちは、SDG4.7(ゴール4 ターゲット7)の文脈で、この10年どのような変化、変容、新たなチャレンジや物語が生まれたでしょうか。
SDG4.7が掲げているのは「平和と持続可能性のビジョンに基づいた、態度、行動変容を目指す教育の普及」です。多くの教育関係者の方々が、ESD(持続可能な開発のための教育)、環境教育、開発教育、平和教育、国際理解教育、人権教育、グローバル・シチズンシップ教育、グローバル教育等、様々な教育を通して、その普及に取り組まれてきました。
今回は、まさにSDG4.7の文脈をリオ+20から今日に至るまで、ESDやグローバル・シチズンシップ教育普及に尽力されてこられたゲストの方のお話をもとに、私たち、一人ひとりの10年を振り返りました。
主催団体であるGiFTも設立10年目を迎えました。グローバル・シチズンシップ育成、SDG4.7の実践と普及を重ねてきたGiFTの10年もケースとして共有させていただきました。
改めて、SDG4.7で繋がる方々と、これまで10年の変化、変容を振り返り、そこから見えてくる自分軸を踏まえて、これからの10年を対話する時間を共創できた場となりました。
以下にEducators’ Summit当日のレポートをお届けします。
「持続可能な開発目標(SDGs)」とは?
2015年9月に、ニューヨーク国連本部にて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択され、2030年までに持続可能な社会を実現するための指針として、17の目標(ゴール)が持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)として設定されました。
“Educators’ Summit for SDG4.7” supports SDGs.
SDG4.7とは?
SDGsの中のゴール4『質の高い教育をみんなに』の項目7であるSDG4.7では、2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにすることを目指しています。
Message
開催挨拶
Report
当日の様子
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13:30
開場 受付開始
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14:00-14:20
開会挨拶・アイスブレーク・主旨説明
一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) 代表理事 辰野 まどかプロフィール
まず、GiFT代表理事の辰野まどかが、平和と持続可能性のビジョンに基づいた態度や行動変容を促す教育を示しているSDG4.7への思いを共有し、また2017年から開催してきたEducators’ Summitを振り返り、今回のテーマである「 SDG4.7 × これまでの10年 ここからの10年 」についてお話しました。
次にアイスブレイクとして、参加者同士が小グループに分かれ、SDG4.7と自分とのつながりや、10年前の自分がどこで何をしていたかを共有し、お互いを知る時間を設けました。
辰野 まどか
一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) 代表理事17歳の海外体験をきっかけにグローバル教育に目覚める。大学時代に世界100都市以上を訪れ、様々なプログラムを通して、自らを実験台に、グローバル・シチズンシップを育成するグローバル教育を体験する。コーチング専門会社勤務後、米国大学院留学し、異文化サービス・リーダーシップ・マネジメント修士号取得。その後、米国教育NPOにおいてグローバル教育コーディネーター、内閣府主催「世界青年の船」事業コース・ディスカッション主任等を通して、世界各地で多国籍チームとグローバル教育を実践。 2012年末に(一社)GiFTを設立し、多様性の中から新たな価値を創りだすグローバルシチズンシップ育成推進のための活動を開始。 現在は「トビタテ!留学JAPAN」高校生コース事前事後研修やアジア7カ国を舞台にした海外研修等、中学・高校・大学・企業を対象としたグローバル・シチズンシップ育成に関するプロデユース、研修、講演等を行っている。 2016年より東洋大学食環境科学研究科客員教授
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14:20-14:30
聖心グローバルプラザからのメッセージ
聖心女子大学 現代教養学部 教育学科 教授 (グローバル共生研究所副所長) 永田 佳之 氏
続いて、本イベントを共催いただいた聖心女子大学の永田佳之教授よりEducators’ Summit開催にあたりメッセージをいただきました。2017年の初開催の時からEducators’ Summitを応援くださり、今回このような形で対面でのイベント開催が実現できました。永田先生に改めて感謝申し上げます。
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14:30-14:45
ライトニングトーク「SDG4.7の10年〜リオ+20(国連持続可能な開発会議)から今日まで〜」
元マハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所政策プログラム長 望月 要子氏プロフィール
ライトニングトークでは、今回偶然にもこのタイミングで一時帰国されていた望月氏をお迎えし、「SDG4.7の10年」をテーマに、リオ+20から今日までのストーリーをお話いただきました。
2015年、Global Citizenship Education(GCED:グローバル・シチズンシップ教育)をテーマにしたバンコク会議では、まだSDGsは扱われておらず、これから、Education for Sustainable Development(ESD:持続可能な開発のための教育)と共に、いかに教育を通して、平和と持続可能性を生み出すかという対話がなされていました。その頃から、望月さんはインドの国連機関に勤務され、SDG4.7のキーワードと共にGCEDやESDを普及して来られました。今回はそのご経験や、ユネスコの教育に関わられた10年間を共有いただきました。
望月氏は、SDGs教育をメインストリームに入れていくための、教材や場づくり、政策づくりに携わる中でのできごとや、その時の思い・気持ちを丁寧に共有してくださいました。参加者からは、望月氏がこれまでGCEDやESDの潮流に大きな影響を与える、重要な役割を果たして来られたことに感銘を受けたとの感想や、参加者自身の現在と重ね合わせ、自分にできることを考えるきっかけになった、励まされたとの声も挙がりました。
望月 要子氏
元マハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所政策プログラム長国連教育科学文化機関(ユネスコ)教育局のアジア初の直轄研究所であるマハ トマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所、政策プログラム 長。慶應義塾大学卒業。コロンビア大学博士号(比較国際教育学)取得後、コロンビア大学教育学大学院非常勤講師、国連大学高等研究所の博士研究員と持 続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development: ESD) スペシャリストを経て、ユネスコ本部ESD課のプログラム・スペシャリスト (気候変動とESD)を務め、ポスト2015開発アジェンダおよびポスト国連ESD の十年(2005-2014)の枠組みの作成に携わる。
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14:45-15:10
Diversity Dialogue 導入「Me with SDG4.7の10年」
今回のダイアログテーマは「Me with SDG4.7の10年」。まずは導入として、設立10年目を迎えたGiFTの「これまでの10年」を辰野から共有しました。団体立ち上げから、さまざまな事業に広がった経緯、その時々にどのような思いで、どのような仲間とプログラムを実現してきたかなどを振り返りました。
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15:10-15:20
休憩
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15:20-15:50
Diversity Dialogue (10年を振り返るストーリーテリング)
休憩後はGiFTシニアダイバーシティ・ファシリテーターの鈴木大樹によるファシリテーションのもと、参加者一人ひとりが自分の「SDG4.7×これまでの10年」について、その時のできごとや気持ちのアップダウンと共に振り返り、グループに分かれて共有するダイアログの時間を設けました。 これまでの10年を振り返った後は、「ここからの10年」を考える時間に移りました。一人ひとりが10年後(2032年7月)の自分に向けて贈りたい言葉を考え共有し、未来に向けてのエネルギー溢れる場になりました。
ダイアログの振り返りでは、「10年前と今の自分を比べると、成長できている実感がもてた。他の方のお話からも気付きや新たな視点をいただけた。」「10年を振り返る中で、SDGsができた頃は今のように浸透するとは誰も思っていなかったが、共感してくださった方のおかげで今がある。GiFTがつくる場も、そんな共感の場になればと思う。」などのコメントがありました。
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15:50-16:20
GiFT to the Future & Co-Creation(これからの未来を創造し、つながるワーク)
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16:20-16:30
終わりに
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 リサーチャー 前川 マルコス貞夫 氏
最後に、2017年よりEducators’ Summitを共創してくださっている前川 マルコス貞夫氏よりお話をいただきました。コロナ禍とグローバル社会関連や、その中で対面のイベントを実現できた価値にも触れながら「10年後もGiFTと一緒に共創をしていたい。皆さんも楽しみにしていてください。」とメッセージをいただきました。
また辰野からも、「今回の裏テーマはRe-connect。これからも皆さんといろんなものを創造して、新たな未来を創っていきたい。」と述べ、イベントを締めくくりました。
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16:30–
閉会
GiFT代表の辰野が企画協力に携わった書籍『わたしからはじまる!SDGs』が6月27日に出版されました。今回のイベント後に、この本にあるワークを体験し、広めている”SDGs NEXT”の高校生・大学生メンバーが、本の魅力や、自身が本から得た学びついて話してくれました。
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この本に関わる中で自己探求ができて、いろんな方の人生を聞くことができました。私自身もこれから教育に関わっていきたいので、この本を通して出会った仲間とつながり続けながら、自分にできることを考えていきたいです。
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自分が”好き”と思えることと向き合って、それがまた好きになって追求していく。そしてそれが結果的にSDGsにつながるということを、この本を通して知ってもらえたら嬉しいです。
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SDGsや社会を良くするようなことは偉い大人がやるイメージで、学生にできることはないんじゃないか、と思っていました。でも実際はSDGsって自分の好きなことからつながっているし、そこから始められると気付きました。SDGsに対して行動することが目的なのではなくて、それがきっかけで生まれるコミュニケーションを活かしていく、コミュニケーションツールとしてのSDGsという視点も得られました。きっと、この本を手に取った人の十人十色の気付きやきっかけが生まれてくると思います。
Voice
参加者の声(アンケートより抜粋)
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10年という年月は何か一つのことが形になるような単位だと感じ、これまでの10年が今の自分を作り、日々悩みながらも進んでいる今が10年後の自分をつくっているなぁと感じました。(会社員)
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10年前の私は小学校4年生で、そこから今までの学びを振り返ると、地域のゴミを拾ったり花壇を整備したり、飛べない白鳥を保護したりと、地域の環境を守ろうという取り組みが学校の教育を通じて行われていたな、と思い出しました。(学生)
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今日のお話を聞いて、常に自分のしたいことだけができるわけでは無いけれど、それでも大切だと思えることや、やり甲斐を感じられるということを見つけられたら、自分の人生が豊かになるように感じました。(学生)
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これまで自分が受けてきた教育は多くの人が作り上げてきたものだと実感した。10年では誰もが大きな出来事があり、これからの自分自身や相手の10年に期待することができた。年代や業種を超えて互いの人生や同じ教育というテーマで話すことができて楽しかった。(学生)
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10年後の自分には、これからも自由に、そして人材育成の分野に携わっていたい人生を送れているか、そして「個」として幅を広げられているか、期待したいと思いました。(公務員)
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グローバル・シティズンシップ教育が届けようとしている、「みんなで地球の未来をつくる志」について、ある意味での新規性と重要性を再認識することができました。その実現に向けた取り組みをこれからもしっかりと進めていきたいと感じる大きなエネルギーをいただきました。(教職員)
Outline
開催概要
日時 | 2022年7月2日(土) 14:00〜16:30 |
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会場 |
聖心女子大学 4号館/聖心グローバルプラザ 3階 〒150-8938 東京都渋谷区広尾4-2-24 東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分 |
参加費 |
無料 |
主催 | 一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)
〒141-0021 東京都品川区上大崎2-15-19 MG目黒駅前ビル2F |
共催 | 聖心女子大学グローバル共生研究所 |