公益財団法人INPEX教育交流財団(ISF)が主催し、GiFTがプログラムデザインと実施を担当した「ISF International Exchange Program 2026(IIEP)」が7月27日から8月6日に開催されました。

オーストラリア、インドネシア、UAE、そして日本から5名ずつの合計20名の高校生が参加し、10日間様々な訪問地での見学やストーリーテラーとの出会いを通して仲間と対話し、学びを深めていくプログラムです。昨年に引き続き、GiFTダイバーシティ・ファシリテーターの相川千絵がメインファシリテーターを担当しました。

▼目次

プログラム初日は、INPEX教育交流財団の佐瀬常務理事様から参加者へ期待を込めた挨拶をいただいた後、アイスブレイクからプログラムが始まりました。

対面で会うのは初めての参加者たちは、とても緊張していましたが、自己紹介や未来のビジョンを共に描くワークショップを通して交流を深めていました。プログラム中に活動を共にする、各国の参加者1人ずつで構成された4人チームでの交流でも、それぞれが一歩を踏み出し、初日のプログラムは終了しました。

プログラム2日目は、横浜から鎌倉に移動しました。慶應義塾大学の田中浩也教授のご案内のもとリサイクリエーション慶應鎌倉ラボを訪れ、再生プラスチックを使用して制作された椅子や3Dプリンターを目の当たりにし、参加者は作品に実際に触れるなど興味深そうに見学していました。

ラボ見学後は、田中教授よりサーキュラーエコノミーや鎌倉での取り組みについてのご講演をいただきました。講演中、一生懸命にメモを取っていた参加者からは、

「プラスチックの硬さが作るものによって違っているのが不思議だった。」
「自国の学校にも3Dプリンターがあるから、同じようなものを作ってみたい。」
「研究を続ける上で大変なことや、モチベーションはありますか?」

など、感想や質問がたくさん聞かれました。

講演後、高徳院を出発し、チームごとに鎌倉散策へ出かけました。長谷寺や由比ヶ浜ビーチを訪れたり、小町通りで食べ歩きをしたりと歴史や文化に触れて学びながら鎌倉の町を楽しんだようです。集合地点では、ホスト参加者としてチームをリードしてくれた日本人参加者から「国籍の違うチームメイトが、鎌倉散策で集合地点まで一緒に来てくれてとても嬉しかった。」という声が聞けました。

横浜に戻った後は、この日感じたことを絵で表現するワークショップを通して、1日の振り返りを行いました。海辺で仲間と集まった瞬間や、鳥居の絵、高台から見た景色など、それぞれが印象に残ったことを記録しました。絵を手にしながら「どうしてそう思ったか?」ペアで対話を通して深める場面では、1日目よりも積極的に発信する参加者の姿が見られました。

3. INPEX直江津LNG(液化天然ガス)基地へ

プログラム前半の横浜・鎌倉プログラムを終え、3日目からは関東を離れ、新幹線で新潟県・直江津へ。

直江津では、INPEX直江津LNG基地を訪問しました。INPEXの事業についてご紹介いただいた後、バスで基地内を見学し、INPEX MUSEUMではプロジェクションマッピングによる展示も体験しました。事業紹介では、オーストラリアイクシスLNGプロジェクトについての紹介もあり、参加者のダーウィンハイスクール生は自分たちの街から日本へ天然ガスが運ばれていることを身近に感じる機会となり、驚きの声とともに多くのコメントや質問が飛び交いました。

プログラムも3日目を迎え、参加者同士も大きく打ち解けてきた様子。
夜の夕飯会場では、いつの間にかお互いの国歌を歌い合う突然の文化交流が始まりました。初日の緊張も少しほぐれ、国を越えての参加者同士の距離が縮まっていることを感じる夜となりました。

4日目からは2泊3日で山形県鶴岡市へ。
ユネスコ食文化創造都市に認定されている鶴岡では、日本の伝統的な文化と、地域から生まれる最先端の研究やイノベーション、その両方に触れる時間が始まりました。

鶴岡駅に到着後、最初に訪れたのは、駅前の観光・食文化情報発信拠点「つるおか食文化市場FOODEVER(フーデヴァー)」。一般社団法人DEGAM鶴岡ツーリズムビューローおよび鶴岡市役所の方から、食文化創造都市・鶴岡の魅力や、日本の伝統的な食文化を幅広くご紹介いただきました。

午後は慶應義塾大学先端生命科学研究所へ。INPEX教育交流財団の奨学金を得て留学しているインドネシアからのISF奨学生、ミシェルさんのお話を伺った後は、湯澤特任准教授からご講演いただき、さらにラボも見学させていただきました。最先端の研究とイノベーティブな取り組みに直接触れる機会となり、特に理系分野を学ぶ参加者たちにとっては興奮冷めやらぬ時間となりました。

5.  伝統を受け継ぎ、未来へつなぐ

鶴岡2日目はあいにくの雨模様。シルク・ミライ館を訪れ、鶴岡シルク株式会社代表取締役の大和匡輔さんに鶴岡・庄内のシルク産業についてのお話を伺いました。

地域で受け継がれてきたシルクへの想いや、シルク産業がもつ「使い捨てにしない循環型社会」の可能性について学ぶ中で、大和さんの「伝統」と「革新」に対する深い洞察は、参加者にとってもとても刺激になったようです。シルク・ミライ館を出発した後も、大和さんから受け取った言葉を振り返り、参加者同士で話す姿が見られました。

その後、玉川寺へ。精進料理、坐禅、お抹茶体験などを通じて、日本の伝統文化を五感で体験しました。雨が上がった後には、雨粒残る緑鮮やかな日本庭園で、参加者たちがそれぞれ思い思いに写真撮影を楽しむ姿も見られました。

鶴岡では、ショウナイホテル スイデンテラスに滞在しました。ここでの宿泊は、4カ国の参加者全員が一緒に泊まる最後の機会。国の違いを越えて、一緒に温泉に挑戦してみたり、タイピングゲームで腕比べをしたり。日中のプログラムが終わった後も、自然発生的な交流が夜まで続いていました。こうした何気ない時間もまた、国や文化の違いを越えてお互いを知り、関係を深めていくIIEPの大切な時間です。

2泊3日の滞在を終え、6日目は山形から東京へ飛行機で移動。プログラムも束の間の休息時間を迎えました。

国ごとに自由に過ごす時間を持つ中で、UAEとオーストラリアの参加者は渋谷へ出かけ、インドネシアの参加者も両手いっぱいのお土産を購入するなど、それぞれ東京での夜を満喫。直江津、そして鶴岡へと舞台を移しながら、さまざまな日本の姿に触れると同時に、参加者同士のつながりも大きく深まった地方プログラムとなりました。

7.  さらなる文化体験(東京)

東京プログラム初日は、日本参加者の通う都立大泉高等学校を訪問しました。学校では、大泉高校の生徒のリードでグループに分かれて茶道、折り紙、けん玉、書道の日本文化を体験しました。

午後は浅草に移動し、仲見世通りやかっぱ橋道具街、スカイツリーなどそれぞれが計画を立てたルートを、チームごとに散策しました。再集合時には満足した表情を見せる参加者の姿も見られ、日毎にチームとしての連帯感が高まっている様子も感じられました。

8.  INPEX本社で新たな出会い、学びの振り返り

赤坂にあるINPEX本社に舞台を移した8日目は、INPEX教育交流財団の北村理事長から「AIの台頭する今日の社会で、今回のプログラムで参加者が何を感じたのかを大事にしてほしい」というメッセージが届けられ、スタートしました。

INPEXの中原様の事業説明では、参加者の出身地で行われている事業の紹介があり、参加者から鋭い視点の質問が寄せられました。

その後、INPEX教育交流財団の関様より奨学金事業についての説明を受けてから、日本に留学中の、インドネシアとオーストラリア出身のINPEX奨学生のお話を伺いました。これまでの人生ストーリーを聞く場面では、参加者にとって身近なロールモデルであるお二人の話に、たくさんの共感が寄せられました。

午後は、GiFTの相川のファシリテーションで、翌日の成果発表に向けての振り返りと準備を行いました。10日間の写真やメモを見返してさまざまな出会いや挑戦を振り返りました。自分自身が何を思い、何を感じたのかに焦点を当てながら、プログラムで得た学びや気づきを、この先の未来に大切にしたいこととつなげ、発表の準備を進めました。

9.  プログラム成果発表

五感をフルに使った10日間のプログラムで得た学びをもとに、各チームが共創した発表では、体験を通してお互いから学ぶことの楽しさに気づき、尊重し合うことの大切さを伝えたチームや、バックグラウンドの異なる仲間との関係性構築からコミュニケーションが未来のUnity in Diversityの鍵になることを発表したチームなどがありました。

最後に、財団の北村理事長からの総評では、それぞれ異なる感じ方が表れた発表の個性や、この10日間で築いた良い関係性について触れながら、参加者へ温かい励ましのメッセージが贈られました。

プログラム最後の振り返りでは、
「チームでのワークショップを通して、自分の性格についての新しい発見があった。」

 「プログラムを通して、グローバルシチズンシップへの理解を深めることができ、もっといろいろな文化について知りたいと思った。」

「初めての海外でとても緊張していたけれど、チームメイトをはじめ、たくさんの素晴らしい人に出会う忘れられない思い出になった。」

「内向的な性格だったが、プログラムのワークを通して、もっと自分の意見を言えるようになった。」

などのポジティブな声が多く寄せられました。

異なる地域から集まり、10日間のプログラムを共にした20名の参加者たち。
コミュニケーションのチャレンジを乗り越えて、仲間との対話に向き合い、最後には未来に向けたアイデアを仲間と共創し、発信しました。再会を約束していた参加者たちが、これからも長く続く関係を築いていくことを願っています。

10.  引率教員のコメント

“It was incredibly rewarding to observe my students grow in confidence, independence and cultural awareness throughout the program. I have no doubt that they will remember this experience for the rest of their lives.“

(日本語訳)このプログラムを通して、生徒たちが自信をつけ、自立していくとともに、異文化への理解を深めていく姿を間近で見られたことは、私にとって本当に大きな喜びでした。この経験は、生徒たちにとって一生忘れられないものになることは間違いないと思います。

“I would highly recommend GiFT as a facilitating organisation. The care, organisation and attention to detail demonstrated by the team were exceptional.

Catering for such a diverse group, particularly given the range of dietary requirements, was no small feat, and the team handled it extremely well. Thank you to everyone involved for creating such a meaningful and memorable experience.“

(日本語訳)このようなプログラムの実施・ファシリテーションを担う団体として、GiFTを心から推薦します。チームの皆さんが示してくださった細やかな配慮、運営力、そして細部にまで行き届いた対応は、素晴らしいものでした。

特に、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な参加者に対応し、食事に関するさまざまな要望にも応えながら運営することは、決して容易なことではなかったと思います。それにもかかわらず、チームの皆さんはそれを見事に対応されていました。このような意義深く、心に残る素晴らしい経験をつくってくださった、関係者の皆さま一人ひとりに感謝申し上げます。


主催:

公益財団法人 INPEX教育交流財団

認定:

実施団体:

一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)
東京都港区芝5丁目26-24 田町スクエア2F