
2025年1月、JICA教員研修の修了者を中心に、国際理解教育/開発教育に取り組む教員がつながり、有志グループ「JICA Eduventures」が動き出しました。この1年間、立場や地域を越えてつながり、対話や共創を通して学びが生まれる場をつくり続けてきました。 本コラムでは、その立ち上げ期から活動に関わってきた田野健先生(石川県金沢市立戸板小学校)の視点から、JICA Eduventuresで育まれてきたつながりや学び、そしてそこから生まれる可能性について紹介します。
<JICA Eduventuresとは?>
JICA Eduventuresは、JICAの教員研修に参加したことがある全国の有志の先生たちが、国際理解教育/開発教育のさらなる普及、推進につながるネットワークを育てていこうと2025年1月に発足した有志グループです。自主活動として2025年2月に8日間のオンラインイベント”JICA Eduventures’ WEEK“を開催しました。その後2ヶ月に一度の頻度で、オンラインイベントが開催されています。2025年11月末に新たな仲間も迎え、2年目の活動をスタートしました。
▼目次
1. 出会いと発信で広がる世界
Q. JICA Eduventuresに参加したきっかけについて教えてください。
1つ目は、人がくれる刺激が好きだからです。教員という仕事にやりがいを感じていますが、職場と家の往復だけでは、どうしても視野が狭くなりがちです。
人は、どんな環境に身を置き、どんな人と関わるかによって、成長の仕方が大きく変わるものだと思います。身近にどんな仲間がいるかは、自分自身の成長にとって欠かせません。本やオンライン学習でも学べますが、人から受ける刺激の大きさはその比ではありません。誰と時間を共にするかは、どんな勉強や努力以上に、自分に影響を与えるものだと思うからです。
JICA Eduventuresをはじめとするさまざまなコミュニティに身を置き、普段なら出会うことのなかった人たちとのつながりを楽しみながら、自分自身も変化し続けていきたいと考えています。
2つ目は、自ら発信することで世界が広がると、私自身の経験から感じているからです。授業実践や日々の考えを発信し続ける中で、普段なら出会うことのなかった人たちとのつながりが生まれてきました。SNSでの発信をきっかけに、企業や全国の先生方との出会いが広がり、コミュニティづくりや新たな役割へとつながっていきました。
発信は誰かの役に立つだけでなく、気づけば自分の周りに仲間が増え、自分自身も刺激を受けて変化していく営みだと感じています。JICA Eduventuresもまた、教師としての経験や思いを自分の言葉で発信し合い、その発信が次の挑戦や共創を生み出していく場として機能していると感じています。

2. 「場」をつくることで生まれる学び
Q. オンラインイベントの企画・運営に関わる中で、どんな学びや気づきがありましたか?
2025年2月に、JICA Eduventuresオンラインイベントの一つとして、「ボクの“世界”科見学」を企画するグループを、他のメンバー2人と共に立ち上げました。企画から運営まで関わる中で、毎回が発見の連続でした。この企画を通して特に強く感じたのは、「場をつくる側の意図」が、参加者の視点や問いの深さに大きく影響するということです。「誰に、どんな視点で語ってもらうか」という設計が、参加者の学びの質を左右していることを、回を重ねる中で実感するようになりました。

「ボクの“世界”科見学」は、行ったことのない国に、誰かの視点を借りて旅をするような企画です。ただの観光的な視点ではなく、その国で教育と向き合ってきた人の視点を通して、世界を見ることができます。観光では触れられない生活のリアリティや教育者としての視点が、参加者の考え方を揺さぶるのだと感じています。
実際に参加者からは、「自分の価値観を押し付けず、相手の立場に立つことの大切さに気づいた」「知るよりも、感じて考える時間だった」といった声が寄せられました。語り手の経験を通して、参加者が自分自身の考え方や教育を見つめ直すことで、教育観が揺さぶられていく。こうした積み重ねを通して、参加者一人ひとりの価値観や教育観に小さな変化が生まれていることに、この企画の手応えと自分自身の学びを感じています。
3. 人が集まることで生まれるエネルギー
Q. 1年間活動を続けて見えてきた、JICA Eduventuresの可能性や価値について教えてください。
1年間活動をして見えてきたのは、JICA Eduventuresがただの教師コミュニティではないということです。ここに集まる人たちは、「動く人」「考える人」「仕掛けていく人」。総じてバイタリティが高く、いい意味で“変な人”の集団です。
こういう人たちと一緒にいると、自然と自分も引き上げられ、「この世界は面白い」と感じたり、もっと変わっていきたいと思えたりします。そばにいるだけで元気になり、今まで見えなかった新しい視点が広がります。
「“世界”科見学」の取り組みを通じて、世界での経験を持ち寄り、仲間同士の学びが連鎖していく様子を目の当たりにしました。今年集まった仲間たちも、昨年度の仲間たちと同様に、豊かなバックグラウンドと世界各国での貴重な経験を持ち、沖縄から北海道まで全国から参加しています。属性も、小学校教員から大学教員、教育委員会までさまざまです。この多様性こそが最大の強みだと感じています。
自分の世界が広がる場所であり、誰かの未来を変える場所であり、仲間とのつながりが自分を変えていく場所—それがJICA Eduventuresの可能性であり、価値だと思っています。

4. 新たな仲間と広がる可能性
Q. JICA Eduventuresは2025年11月末に新たな仲間を迎え、2年目の活動をスタートしました。今後のイベント企画・運営に向けて新体制で集まった場を通して、何を感じましたか?
多様な仲間が一堂に会することで生まれる可能性を感じました。沖縄から北海道まで、世界各国での貴重な経験や豊かなバックグラウンドを持つメンバーが集まり、まさに「多様性が力になる」瞬間がここにあると実感しました。

だからこそ、「こんなことできるかな」「こんなの変かな」と心配せず、自分たちにしかできないことをどんどん持ち込んでほしいと思います。やりたいことをやっていくと、誰かのやりたいことが別の誰かの行動を引き出すような連鎖が起きていくはずです。
昨年、自分たちがワクワクした取り組みが全国に届いたように、今年もまた新しい冒険が生まれていく期待と希望を強く感じました。

5. つながりが未来を変えていく
Q. 今後、JICA Eduventuresがどのようなコミュニティになっていくとよいと思いますか?
JICA Eduventuresは、ただつながるだけのコミュニティではなく、「自分の世界が広がり、誰かの未来を変え、仲間とのつながりが自分自身を変えていく場所」になっていくことが理想です。
それぞれの経験や価値観を持ち寄り、互いに影響し合いながら、新しい挑戦や学びが自然と生まれていく—そんな“冒険が連鎖するコミュニティ”になることを願っています。
JICA Eduventures’ WEEK 2026 開催決定!

昨年に引き続き、『JICA Eduventures’ WEEK』の開催が決定しました!
2026年2月10日(火)〜27日(金)の3週に渡り、
さまざまなオンラインイベント(セミナー・ワークショップ)を開催する予定です。
JICA Eduventuresの思いが詰まった企画、ぜひご一緒いただけたらうれしいです。
<実施概要>
期 間:2026年2月10日(火)~2月27日(金)
開催方法:Zoom (お申込者に事前にご案内)
対 象:テーマにご興味のある方ならどなたでも
主 催:JICA広報部地球ひろば推進課・JICA Eduventures有志一同
各イベントの詳細は、特設サイトをご覧ください。
執筆者

田野 健 先生
石川県金沢市立戸板小学校 教諭
2019年度 教師海外研修(一般コース・サモア)参加者
編集後記
異なる経験や背景を持つ先生同士が出会い、つながることの価値を、あらためて感じました。一人ひとりが持つアイディアや問いが重なり合うことで、思いもよらない視点や発想が生まれ、そこからまた新しい動きが広がっていく。その過程にこそ、この取り組みの意味があるのだと感じています。
2月10日(火)始まるオンラインイベント”JICA Eduventures’ WEEK 2026“も、ぜひチェックしてみてくださいね!
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