SDGs × 教育 + COVID-19

オンライン・ミーティング

〜コロナを経験した今、これからの教育を考える〜

本イベント「SDGs ×教育ミーティング」は、今年で4年目を迎え、教育を通してSDGs達成に貢献する、SDG4.7に関わる様々な方々が集まり、SDGs ×教育を考える場として開催してまいりました。
オンラインでの開催となった今回は、教育を通じたSDGs達成に貢献することに関心のあるゲストスピーカーを招き、第1部では「SDG4.7プロジェクト運営会議のメンバー」とともに話を聞き、第2部では参加者のみなさん同士が語う時間をじっくりもちました。

ここ数か月の出来事で、世界中の人々の営みも、地球環境も大きく変わる中、みなさんは「これからの教育」に関して今、何を感じているのか。そしてここから始まる未来についてどう考えているのか。「教育」を切り口に、改めてこれらの問いに向き合い、語り合った当日の様子をご紹介致します。

◆当日のアーカイブ動画(Youtube)はこちら

Opening

イベントレポート〜オープニング

今回のイベントは470名のお申し込みをいただき、参加者の半数以上が学校関係者(教員)と、多くの教育従事者の皆様にご参加いただきました。また、それ以外にも民間企業、行政組織、NGO/NPO、学生など、様々なバックグラウンドの方がお集まりくださりました。申し込みで先着80名の方はzoomでのご参加、視聴希望の方はYouTube配信でトークを聞いていただく場となりました。

イベントの第1部は、運営会議メンバーの辰野まどかさんの進行でスタート。「コロナ禍で忙しく生活している中で、一度立ち止まって、何を思っているのか、どんな考えを持っているのかを感じて、これからの未来への教育を一緒に考えていけたらと思う。」という辰野さんのメッセージで幕を開けました。

さらに今回の趣旨説明として、運営会議メンバーの内藤徹さんからは、COVID-19の影響で世界が変わり、日本の教育が変わったという観点から「世界の様々な問題は今後どうなっていき、私たちの行動はどうなっていくのかという視点を持つこと。そして、家庭や民間が様々な形で教育に関わるようになり、子どもたちはどんな気持ちで学校に通っているのかを考える視点が大切。このイベントで、答えのないことを皆で議論することで、皆が話をするきっかけになればと思う。」とのメッセージが送られました。

Session 1

第1部

「今だからこそ語ろう、ESD(持続可能な開発のための教育)〜学校が元気になる価値変容・行動変容〜」

横浜市立日枝小学校校長、神奈川県ユネスコスクール連絡協議会会長
住田 昌治 氏

運営会議メンバーの柴尾智子さんのナビゲートで始まった住田先生のお話のキーワードは「変容」と「自分ごと」でした。「色々なことを知ることにより、行動が変わっていくあり方が『行動変容』であり、私たちが求めてきた変容とは何かを考えていかなければいけない。」「世界中でコロナウイルスが流行り出した時、自分ごとで考えいたかどうか。なんとなく、他人事に感じていることが多い気がする。知らないことが沢山あるので、まずは知り、真剣に考えているのかいないのかに気づくことが大切。」と、これから求められる教育についてメッセージを寄せてくださりました。

また、コロナ禍での教育については、「今までできなかったことが、できるようになっているかもしれない。どんな働き方をしたいかを考えることが、どんな教育をしていきたいかにつながる。やらなきゃいけない、といってSDGsやESDに取り組んでいると、子どもが主体ではなくなるので、先生がまず大事だと思って主体的にやっていくことが大事。」と、先生方のあり方についても熱い想いを共有いただきました。

 

「普通の高校生が行動する高校生に変わった! 〜学生が語る教育の未来〜」

横浜国立大学・都市科学部・都市社会共生学科在籍
入江 遥斗 氏

ナビゲーターの上田壮一さんとは、ご自身が高校生の時に出会ったという入江さん。「社会問題に対して何をしたら良いか分からない、という“モヤモヤ感の蓄積”があるなら、何らかのきっかけがあれば、行動変革に移すことができるのではないか。」と考え、行動したい気持ちがあっても一歩踏み出せない人たちのために、SDGsを分かりやすく伝える動画制作などの様々な活動をする「Design, more.」というプロジェクトを立ち上げました。

また、SDGsのゴールを暗記問題として出題する大学受験の模試を紹介し、SDGsのゴールを暗記するものではなく、海洋、火山などのリスクや多文化共生、エネルギー、開発資源など、様々な分野からの複合的なアプローチとともに、本質的にSDGsを学ぶことの大切さを訴えました。受験勉強のための場所ではなく、「さまざまな人が交わることで賑いや価値観などが創出される“居場所”としての学校の意義が問われている」というメッセージが印象的でした。

第1部の締めくくりとして、運営会議メンバーの川嶋直さんからは、「〇〇反対、と問題提起する時代から、こうしたらどうですか?という代案提示、そして、実際に事業実施をして社会起業するような人も増えてきた。」と語った上で、「今は、様々な学びの場をつくるチャレンジができるチャンスの時であり、開いていくことが大切。これを機につながって、お互いの実践などを共有していってほしい。」というお話がありました。

 

Session 2

第2部

第2部は、第1部からzoomで参加いただいた方を対象に、参加者同士の対話の時間として開催しました。進行は運営会議メンバーの木村大輔さんが担当し、「住田先生、入江さんの2人のお話を聞いて、今感じていること」の共有と、それを受けて「これから取り組んでいきたいこと、サポートやアイディアが欲しいこと」を、zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて、少人数で共有していく時間となりました。

グループメンバーによって話される内容も様々あったようで、教育現場のリアルな状況や、教員としての葛藤、企業の立場で教育をサポートしたい思い、学生の視点から見たこれからの社会に必要な教育のあり方など・・・。多様なバックグラウンドを持つ参加者のみなさまが集まってくださったからこそ、ダイアローグの時間が足りなくなるほど深く、インタラクティブな場となりました。

第2部の締めくくりとして、改めて2人のゲストの方からメッセージをいただきました。

住田先生からは「皆さんは、今幸せですか?」という問いがあり、「大人が幸せじゃないと、子どもを幸せにできない。学校現場でいうと、先生たちが幸せかどうか。先生たちがわくわく仕事をしているかどうかで、子どもが幸せかどうか変わる。」「世代を越えてつながっていくのが、SDGsやESDの良さなので、これからも繋がっていきましょう。」というメッセージに勇気付けられました。

入江さんは「教育について関心のあるみなさんと繋がりながら、プレゼンをするのは久しぶりでした。」と緊張されていた様子を語りながらも、「全国的にいろいろな人が集まってくださった。このzoomの退出ボタンを押して終わりではなく、それ以降も繋がっていきましょう。」と、ここから始まる未来を予感させるエネルギー溢れる言葉を共有くださいました。

土曜日の午後、教育の未来について語り合う「SDGs×教育+COVID-19ミーティング」にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

Voice

参加者の声(アンケートより抜粋)
  • 自分の実践や貫きたい信念を、「隠さずに」共有し、和(輪)を広げていくこと。教員自身が変容することを受け入れ、楽しみながらやっていくこと。それによって生徒主体の学びにつなげ、これからの社会で共生していくために本当に必要な心や思考スキル、伝達スキル、知識を身につけさせれる教育を実践していくことが、まさに今求められているのだと感じました。(教員)

  • 住田先生の「自分ごとと気づいた人からつながっていこう」、入江くんの「やりたいけど一歩行動が起こせない人、もやもやしている人」のことを考え続ける姿勢、とても参考になりました!(民間企業)

  • SDGsについては本当に名前しか知らない程度であったのですが、思い切って参加してよかったです。私は、地域とともにある学校づくりで、地域や社会の持続性について現状を少しずつ変えていきたいと思っているのですが、その想いは皆さんと共通であったこと、そしてまた新たな出会いもあったこと、これから自身が進めていきたいと考えていることについての新たな気づきをたくさんもらえたことがとても良かったです。(行政組織)

  • 同い年でSDGsに積極的に取り組んでいる方がいらっしゃることを知り、勇気づけられました。私も行動を起こそうという気持ちが強くなりました。また、なかなかお会いすることの出来ない方々に大変貴重なお話を伺うことができて良かったです。教員の方々が大勢参加していらっしゃった事も学生として非常に嬉しく感じました。(学生)

  • 入江さんや、教員を目指している大学生との対話で、未来は明るいなと思えました。まずは様々な立場、世代で対話することが大切で、全世代で問題を“自分ごと”として捉え、解決に向かっていきたいと思いました。そのためにはやはり教育の力が鍵ですね。頑張らなければ!(教員)  

Special Thanks

今回、テクニカルサポートとして、入江さんとDesign,more.の活動を共にする、横浜国立大学の村瀬悠さんにご協力をいただきました。 村瀬さんには、当日のYouTube配信や、配信前&休憩中の分りやすいスライド案内、Zoomのグループ分け等々ご活躍いただきました。

開催概要

イベント開催情報
日時 2020年6月27日(土)
  第一部   14:00〜15:05  セミナー・パート(ZoomおよびYouTube配信) 
  中休み   15:05〜15:15
  第二部   15:15〜16:30  ダイアログ・パート(Zoomのみ)
定員

①zoomによる参加(第1部、第2部共通でのご参加) 先着80名のみ 
②YouTubeによる視聴(第1部のみ) 人数制限はなし(ただし、URLをお知らせするため事前の参加登録はお願いします)

参加費

第一部・第二部 ともに  無料

主催

SDG4.7 プロジェクト運営会議

※本運営会議は2017年にJICAで行われたSDGsと教育のイベントをきっかけに生まれた有志のグループです。
 以下所属・役職を記載しておりますが、各人の自発的な思いのもと集っている仲間であり、
 各人は、組織を代表しているわけではなく、基本的に個人として参加しております。

【SDG4.7 プロジェクト運営会議メンバー】(50音順 敬称略)

伊藤 容子
(認定NPO法人 開発教育協会(DEAR))
上田 壮一
(一般社団法人Think the Earth)
氏師 大貴
(文部科学省)
川嶋 直
(公益社団法人日本環境教育フォーラム)
川廷 昌弘
(株式会社博報堂DYホールディングス)
木村 大輔
(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT))
齋藤 克義
(独立行政法人国際協力機構 JICA)
柴尾 智子
(ユネスコ・アジア文化センター(ACCU) / 元 ESD活動支援センター)
杉原 寿仁王
(臨床教育研究所「虹」)
辰野 まどか
(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT))
竹内 慎一
(NHKエデュケーショナル )
内藤 徹
(元 独立行政法人国際協力機構 JICA)
永田 佳之
(聖心グローバル共生研究所、聖心女子大学)
中村 絵乃
(認定NPO法人 開発教育協会(DEAR))
濱小路 元
(独立行政法人国際協力機構 JICA)
八星 真里子
(元 独立行政法人国際協力機構 JICA)

【事務局】
一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト[GiFT]

Tel:  03-4577-6767 
E-mail: info@j-gift.org

About SDGs

SDGsとは

<SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)>

2015年9月に、ニューヨーク国連本部にて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択され、2030年までに持続可能な社会を実現するための指針として、17の目標(ゴール)が設定されました。
目標4「質の高い教育をみんなに」の中にあるターゲット7、(通称SDG4.7)は、平和と持続可能性のビジョンに基づいた、態度、行動変容を目指す教育を指しています。SDG4.7は、これまで多くの方々が実践してこられたESD(持続可能な開発のための教育)、開発教育、平和教育、国際理解教育、環境教育、人権教育等、様々な取り組みを振り返り、そしてつなぐターゲットでもあります。

【SDG4.7(ゴール4ターゲット7)】

2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために、必要な知識とスキルを習得できるようにする。