SDGs4.7カフェ

SDGs4.7 CAFE

 -SDGs達成を目指した教育に出会うカフェ-

2018年3月26日、一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)は、広尾学園中学校・高等学校にて開催された第1回東京国際教育祭「Learn for Life」にて、『SDGs4.7 CAFE-SDGs達成を目指した教育に出会うカフェ-』を実施しました。

今回は「SDGs(持続可能な目標)達成を目指した教育に出会うカフェ」と題して、持続可能な開発のための教育(ESD)、国際理解教育、開発教育、環境教育などの分野で活躍される6名のゲストからSDGs4.7に関するお話を伺い、学校関係者やSDGsに興味のある学生の皆さまとの新たな出会いと学び溢れる時間となりました。以下、当日の様子をご報告いたします。



<SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)について>

20159月に、ニューヨーク国連本部にて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択され、2030年までに持続可能な社会を実現するための指針として、17の目標(ゴール)が持続可能な開発目標(Sustainable Development GoalsSDGs)として設定されました。


【SDGs 4.7(ゴール4項目7)】
2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために、必要な知識とスキルを習得できるようにする。

 

ゲスト一覧

ゲストトークの様子、およびゲストがおすすめする教材等を、コメントとともにご紹介します。
【永田佳之氏 プロフィール】
「世界でいちばん自由な学校」と言われるサマーヒル学園との出会いをきっかけに、1990年代から各国のオルタナティブな教育現場に滞在し、ユネスコの仕事に従事するようになる。近年はESDの実践や理論の研究、アニメーションを活用した気候変動学習などに取り組んでいる。著書に『新たな時代のESD:サスティナブルな学校を創ろう』他。ユネスコ/日本ESD賞国際審査委員。

聖心グローバル共生研究所 副所長 永田佳之氏

「”自由な教育”、”自由を活かすこと”とは何なんだろう」と参加者に問いかける永田氏。人間の永遠の課題である”自由”という概念に向き合ってこられた永田氏が教育を語る際の、「教科書(の内容)を教えるのではなく、教科書で教えるべき」という言葉が印象的でした。


<永田氏のおすすめ教材>
 

「地球家族 世界30か国のふつうの暮らし」 TOTO出版
「この写真の家族は貧しい?豊か?」「なぜそう思うか?」という問いと共に写真を見ながら、豊かな国が必ずしも統計ランキングのトップではないことや、自分の写真への第一印象が統計と異なる場合があるという、社会・人権的視点からの学びが共有できます。
「気候変動+2℃」 Think the Earth
持続可能な開発の分野で、一番危機的なテーマの1つである「気候変動」。ビジュアルから気候変動や地球温暖化を学ぶマテリアルとして活用できます。


 

【柴尾智子氏 プロフィール】
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)で途上国における識字教育支援、ESD推進、韓国・中国・米国との教員交流、ユネスコスクール振興・活動支援などの事業を統括した。2016年に文部科学省・環境省が開設したESD活動支援センターに出向中。

ESD活動支援センター 次長 柴尾智子氏

高校時代のアメリカ留学が原体験となり、非営利セクターでの活動に従事してきた柴尾氏。「世界の課題は日本の課題、日本の課題は世界の課題」という視点で、持続可能な社会の実現に向け、より多くの人にこの分野の価値を広めたいという熱意を感じました。


<柴尾氏のおすすめ教材・道具>
  

『ESD教材活用ガイド 持続可能な未来への希望』 発行:ユネスコ・アジア文化センター(ACCU) 
ESD(持続可能な開発のための教育)とは何か?という概要から、ESDを実践している学校教育現場の事例、学力とESDの関係なども記載されていて、ユネスコスクール公式ウェブサイトからダウンロード可能です。英語版も公開しています。

日本語ダウンロード
英語ダウンロード

46メートルのリボン
持続可能性とはどのくらいのタイムスパンを考えるのか、という問いから生まれたワークショップの一つです。46億年の地球史に見立てた46メートルのリボンの上に命、動物、魚、哺乳類、人類の誕生と現在の時間軸を置いて、その間隔を客観的に見るワークショップ。地球の歴史や生きものとしての人間の歴史と責任について考えるきっかけとなります。


 

【内藤徹氏 プロフィール】
民間企業を経てJICA勤務。地域開発案件やトルコ事務所勤務等を経験した後、専門職として企業、NGO、ソーシャルビジネス、教育機関との連携を推進。現在は全国の開発教育/国際理解教育の推進を行う。世界の課題を題材にした対話型授業の普及のため「授業で使える10分映像集(難民、イスラム、国際協力、教育)」を制作。

独立行政法人 国際協力機構 広報室 地球ひろば推進課 課長 内藤徹氏

大学三年次で中国へ一人旅をし、四年でインドへ。旅先で出会ったある人の「ここにいると、生きている実感がある」という言葉に刺激を受けた内藤氏。「自分も変わり、相手も変わり、世の中をより良い形にしていくこと」をモットーに、現在は日本の教育に関わる活動に励む日々を送られています。


<内藤氏のおすすめ教材>
 

授業で使える10分映像集(アクティブラーニング教材)
学校教育現場により広く取り入れられるように、10分間の映像教材を作りました。「国際協力」「教育」がテーマの映像はJICAの活動、「難民」「イスラム」はニュースやインタビューの映像を主に使った、アクティブラーニングの教材です。


 

【中村絵乃氏 プロフィール】
横浜市出身。(財)横浜YMCA勤務の後、英国ヨーク大学大学院で学ぶ。2000年より開発教育協会事業担当。08年4月より現職。地球的課題を扱う教育や、グローバル教育、対立解決教育の実践・研究を行なう。

(特活)開発教育協会 事務局長 中村絵乃氏

インドで出会ったNPO職員に「私たちは自分の問題を解決するから、あなたも、自分の国を良くしてください」と言われたことをきっかけに、「物事の裏側にある見えない構造を見て、聞こえない声を聴きながら、教育を通して社会を変える学びをつくりたい」と思うようになった中村氏。当日は開発教育の実践に役立つ多様な教材を紹介してくださいました。


<中村氏のおすすめ教材>
   

開発教育協会(DEAR)発行の教材
先生方やNGOの方々とチームを作って開発し、作成過程も重視しています。多くの人が作成に携わり、オーナーシップを持ってもらうことで、よりよい教材になります。取ることで、自分たちがワークショップや授業を作るという自覚が芽生えています。
『スマホから考える世界・わたし・SDGs』
『ソーシャル・アクション ハンドブック-テーマと出会い・仲間をつくり・アクションの方法を見つける39のアイデア』
『豊かさと開発-Development for the Future』


【川嶋直氏 プロフィール】
1980年代に財団法人キープ協会で自然体験型環境教育事業を組織内起業。以降30年間に渡り「インタープリター」として参加型・自然体験型環境教育プログラムの開発と人材育成を行う。現在は「KP法(紙芝居プレゼンテーション法)」や「えんたくん」など様々な参加型コミュニケーション手法の開発普及も行なっている。

公益社団法人日本環境教育フォーラム 理事長 川嶋直氏

ホワイトボードにカードを貼りながら、ご自身が開発したKP法(紙芝居プレゼンテーション法)を紹介し、瞬く間に参加者の心を鷲づかみにされた川嶋氏。「今の仕事をしているのは生まれてから今日までの全てがきっかけ。出会った人、読む本、旅する所、悩んでいる自分、全てが大切」と語られました。


<川嶋氏のおすすめ教材>
  

「就職先は森の中 インタープリターという仕事」 小学館
僕がどうしてこの仕事をやって来たのかが書かれています。

「KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション」 みくに出版
ホワイトボードにキーワードを書いた紙を貼りながら、ファシリテーションを行う手法です。誰でも明日から実践できるので、ぜひ挑戦してみてください。Youtubeチャンネル「KP法 Kamishibai Presentation」もありますので、ぜひご覧ください。

「えんたくん革命 1枚のダンボールがファシリテーションと対話と世界を変える」みくに出版
簡単に円卓(ラウンドテーブル)をつくることのできる魔法のような道具「えんたくん」の使い方、活用方法をはじめて紹介します。


【上田壮一氏 プロフィール】
2001年にThink the Earth設立以来、コミュニケーションを通じて環境や社会について考え、行動するきっかけづくりを続けている。主な仕事に地球時計wn-1、携帯アプリ「live earth」、全天周映像「いきものがたり」、書籍『百年の愚行』『1秒の世界』他多数。2017年にSDGs for Schoolプロジェクト開始。多摩美術大学客員教授。グッドデザイン賞審査委員。

一般社団法人Think the Earth 理事 上田壮一氏

「一冊の写真集『地球/母なる星』との出会いから、メディアやコミュニケーションの力で地球の未来を考える仕事をしたいと思った」という上田氏。SDGs for Schoolというプロジェクトでは、SDGsを学ぶための教材「未来を変える目標 SDGsアイデアブック」を全国の学校に届ける活動に取り組まれています。


<上田氏のおすすめ教材>
  

【一般社団法人 Think the Earth 発行の書籍】
写真1枚の力から心を揺さぶられることもあるし、その背景を掘り下げるだけで沢山の情報・学びを得られます。視覚的なアプローチなので、生徒が自分の頭で、世界の課題やその解決策について考えるきっかけを作ることができます。
・「百年の愚行

・「続 百年の愚行

ファシリテーター

一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT) 
代表理事 辰野 まどか

(本イベントではファシリテーターを務めました)

《プロフィール》

17歳の海外体験をきっかけにグローバル教育に目覚める。大学時代に世界100都市以上を訪れ、様々なプログラムを通して、自らを実験台に、グローバル・シチズンシップを育成するグローバル教育を体験する。コーチング専門会社勤務後、米国大学院留学し、異文化サービス・リーダーシップ・マネジメント修士号取得。その後、米国教育NPOにおいてグローバル教育コーディネーター、内閣府主催「世界青年の船」事業コース・ディスッカッション主任等を通して、世界各地で多国籍チームとグローバル教育を実践。 2012年末に(一社)GiFTを設立し、多様性の中から新たな価値を創りだすグローバルシチズンシップ育成推進のための活動を開始。 現在は「トビタテ!留学JAPAN」高校生コース事前事後研修や東南アジア6カ国を舞台にした海外研修等、中学・高校・大学・企業を対象としたグローバル・シチズンシップ育成に関するプロデユース、研修、講演等を行っている。

2016年より東洋大学食環境科学研究科客員教授
2015年より「持続可能な開発のための教育(ESD)円卓会議」委員
2011-2015年 明治学院大学国際学部国際キャリア学科非常勤講師(Community Development-Service Learning-担当)

Voice

参加者の声
  • SDGs4.7に焦点を絞ってこい対話ができたと思います。SDGsを自身の教育(言語学)に直接組み込むのは難しいのでは?と今までよく考えもせず決めつけていましたが、どの分野でもつながっていけるかもと思えました。
  • 改めて、SDGs4.7は色々な人を繋げる「共通言語」となる可能性があるな、ということを感じました。
  • 一番の気づきは、教育に関心があり、頑張っている方がこんなにもいるということ。そのことで希望が持てました。
  • 時間が短い分、より集中して参加できた。高校生や大学生が参加していて、嬉しかった。もっとお話が聞きたかったです。
  • 人との関係性がまず大切。「伝わる」ような「伝え方」が大切。SDGsを通じて企業と教育界がもっとつながりますように。

開催概要

イベント開催情報
日時 2018年3月26日(月) (12:00〜13:30)
会場

広尾学園中学校・高等学校

〒106-0047 東京都港区南麻布5丁目1−14

SDGs4.7 Cafe ワークショップ開催

一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト[GiFT]

GiFT(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト)は、2005年国連決議で採択された「持続可能な開発のための教育(ESD)」、そして、2012年から始まったグローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ (国連事務総長により提唱) の一つであるグローバル・シチズンシップ教育(GCED)、また、開発教育、異文化理解教育、サービスラーニング等、未来を共創する教育の実践と普及を通して、SDGsの実現を目指しています。

そのために、『グローバル・シチズンシップで世界をつなぐ』をミッションに掲げ、一人でも多くの人が自らの世界をよりよくする志である、「グローバル・シチズンシップ(地球志民)」と繋がり、次世代を意識して行動できるようになるための教育を大切に、様々な教育プログラム、研修、ワークショップなどを行なっています。

Tel: 03-4540-1203
Fax: 03-4540-1197
E-mail: info@j-gift.org

主催 Learn for Life 2018
本イベントは3/26(月)・27(火)に開催された『Learn for Life 2018』内のイベントとして(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)が開催しました。)
特別協力 広尾学園中学校・高等学校
後援 フィンランド大使館、フィンランドセンター、デンマーク大使館、ノルウェー大使館、
新経済連盟
GiFTは、2017年10月28日に持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)の実現を目指す関係者が集い、
未来の教育を描く 場『Educators’ Summit for SDGs 4.7 – For fostering our Global Citizenship』を
聖心女子大学グローバルプラザにて開催いたしました。

『Educators’ Summit for SDGs 4.7 – For fostering our Global Citizenship』の報告ページはこちら↓