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MIHO美学院中等教育学校でDiversity Campを実施しました!

Update 2021/09/15

滋賀県にあるMIHO美学院中等教育学校は、「美を求める心」を建学の精神にすえた、全寮制の中高一貫の学校です。GiFTでは7月に20人の4年生を対象に、「SDGs達成に貢献するツールを開発・デザインする」をテーマに、23日のDiversity Campを実施しました。

生徒たちは5つのグループに分かれて、「サステナブルな未来に貢献するモノを創ろう!」のミッションに向き合いながら「今、この世にはないけれど、未来に役立つ新しい何か」を共創していきました。

今回のプログラムは、GiFTの「グローバルシチズンシップ(地球志民)プロセス」をベースに、「つくることによって学ぶ」「つくるなかで学ぶ」という学びの一つのスタイルである「クリエイティブラーニング」を活用した内容で、GiFTダイバーシティ・ファシリテーターの木村大輔と、慶應義塾大学メディアデザイン研究科のリサーチャー&非常勤講師の前川マルコス貞夫氏がファシリテーションを行いました。

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1日目は、世界や人々の活動を体感しながら、誰も取り残さない世界の実現について考えるSDGsカードゲームからスタートしました。また、夏休みに帰省した時に自分ができるSDGs達成に貢献する小さなアクションを考え、英語で宣言するというワークも行いました。英語で発表するのはとてもドキドキする瞬間でしたが、どの生徒も、自分の言葉で「エコバックを使う」「水の無駄遣いをしない」など、身近なところからできる初めの一歩をしっかりと宣言しました。この日の後半は、「自分たちが創りたい未来」を自由にのびのびと想像し言葉にしながら、仲間とともに想いを重ねていきました。

夕食のBBQを楽しんだ後の1日目の振り返りタイム(チェックアウト)では、「普段あまり話さない仲間といっぱい話せた」「コンフォートゾーンを出るというのを聞いて、自分は居心地のいい場所ばかりにいたんだって、思った」「SDGsはあんまり興味なかったり、意味あんのかなー、僕たちに何かできるのかなぁーって思ってたけど、小さなアクションでも貢献できるのを知れた」という言葉がありました。

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2日目は、いよいよ「共創」の時間です。The Thing from the Futureというワークショップを通じて、生徒たちは与えられたキーワードから「未来から届いた何か」をチームの仲間と想像するところからスタートしました。その「想像したモノ」を自分たちで「形にする」のかと思いきや、なんと、それは別のチームへ託して創ってもらう、そして、自分たちも別のチームが想像したものを託され、それを「創る」という展開に!

生徒たちは別のチームから託されたミッションをもとに、様々な素材を使ってまずは「創ってみる」プロセスへと進みました。中間発表では、マルコス先生から「託されたものを忠実に創るだけでは、クリエイターとしては十分でないよ。そこに、自分たちのチームの想いや考えも加えて新しいものを創造してごらん。」「いま創っているものは、どのように未来や人や社会に貢献するの?」などのフィードバックをもらいました。各チームとも、チームメイトとの対話をさらに重ねて深めながら、試作品をブラッシュアップしていきました。

 

この日のチェックアウトでは、

「チーム全体が何もやっていない時間があった。何ができるか考えた時、まずはチームメイトとしゃべることから始めようと思った。そこからチームが動き始めた。ただしゃべるだけでも、大事なことだと感じた。」

「何かを作るのは苦手だったけど、チームメイトが手伝ってくれて楽しくなってきて、自分だけでは出てこないアイディアが出て嬉しかった。ものをつくるのを楽しく感じたのは初めての経験だった。」

「最初は、自分たちの思いを入れられていなかった。だけど、自分たちなりのアイディアを込めることによって、より良いものにすることができた。自分一人だけだったら作れなかったなと思う」

など、チームメイトと共創することへの一歩を踏み出したことで得た、おもしろさや発見を言葉にしていました。

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3日目はいよいよ、チームごとの発表です。しかも、全て英語で説明しなければなりません。準備の時間が終わるギリギリまで、英語でどう表現したら良いのか諦めずに必死に考えたり、ファシリテーターにアドバイスを求める姿は本当に印象的でした。

発表では、「体が自由に動かない人でもスポーツを一緒に体験している感覚になれる道具」「座ったままでも思いのまま移動できるなど、かなり進化した機能を備えた家具や日用品」「離れたところにいる人の目の前で、自分が伝えたい想いをアバターのように浮き上がらせる未来型の手紙」「飲み物を入れると瞬時にその成分と割合を詳細に示してくれるカップ」などが紹介されました。

生徒たちが創造したものはどれも、自分たちはまだ生きているかもしれないし、生きてすらいないかもしれない「未来」や「社会」がどうなっていたら良いか、ということを想像しながら創ったものですが、同時に、生徒たちがこれまでに経験したり感じたちょっとしたことや思い出などともつながっていたことが印象的でした。

今回のプログラムを通して、生徒たちは、自分たちが作りたいサステナブルな未来に貢献する新たなものを「想像する」「創る」「遊ぶ」(動かしてみる)「シェア(共有)する」「振り返る」というプロセスを繰り返していきました。その中で、一人ひとりがこれまでとは違う挑戦に向き合い、自分で考えて行動し、クラスメイトであるチームメイトとの繋がりを強め、そして自分自身の変化や成長、学びをしっかりと作っていきました。

研修を終え、学校に戻ってからの振り返りでは、

・“協力に対するイメージが変わった。皆で一緒につくるだけでなく、できないところを支え合ったり、頼ったりしながら1つのものをつくることも協力の形なのだと感じた

・人の気持ちは言葉にしないと分からない。これからも一人一人の気持ちを皆で言い合えるようになりたい

・皆で作り上げることへの価値観が変わった。自分ではできないことも他人と協力することで何十倍の力になってできることが増えることを学んだ

・人生での選択肢はたくさんあって、その選択のチャンスをつかみ取っていくことで、前に進むことができるのではないかという学びがあった

・comfort zone にいるのではなく、あえてlearning zoneでいつもと違うことをしようと決めて行動することで、こういうこともできるんだ、という新たな自分を発見できたと感じて嬉しかった

・研修では、チームの人とすごく仲良くなれた。これから、チーム以外の人やこれまで接していない人とも一緒に何か取り組んでいきたいと思った

・班の人と協力して作品を創っていく上で、普段はあまり気がつかない友達の良いところをたくさん見つけることができた

などの言葉があったようです。

また、生徒たちはプログラムでの学びとともに、今後、学校生活で取り組みたいことなどをイラストや写真などを使ってクリエイティブに表現するという課題に取り組み、夏休み以降のアクションへとつなげていきました。

(↓ 写真撮影時のみマスクを外しています。)

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