日本シティズンシップ教育学会研究集会「ユース・エンパワーメント:18歳成年時代の若者は、市民としてどう育っていくのか」が開催されました。

代表の辰野が大会企画担当理事・実行委員長を務める、日本シティズンシップ教育学会研究集会「ユース・エンパワーメント:18歳成年時代の若者は、市民としてどう育っていくのか」が開催されました。

今年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたこのタイミングで「18歳成年時代の若者は、市民としてどう育っていくのか」というホットトピックを問うていく、豊かな時間になりました。 

まず北欧の若者政策、ユースワークの視点から研究をされている両角達平先生から、基調講演をいただきました。そしてパネルディスカッションでは、「わたしたちが生きたい社会はわたしたちがつくる!」と、若者世代に政治を伝える活動をされているNO YOUTH NO JAPAN 代表の能條桃子さん、10代からは「高校生だからできるをやる場」を作り続ける、立命館宇治高等学校のChallengers Assemblyメンバーの菅原龍佑さんが登壇しました。モデレーターには、「生徒の社会認識を高める教育」を展開されている、立命館宇治中学校・高等学校の杉浦真理先生をお迎えしました。

後半は参加者の皆さんと、小グループに分かれてこのテーマについて議論を深めていきました。参加者は、小学校から大学の教員、研究者、NPOや自治体、企業の方々など、社会教育を専門とする方が多く、「シティズンシップ教育」フィールドの理解が深まりました。

北欧の民主主義教育について興味深かったのは、若者たちも大人も「余暇の時間」がたっぷりあるから活動できている、ということ。日本においては、ユースエンパワメントに関しては、時間の余裕、そして経済的余裕が必要という指摘もあり、一方で社会からの期待も必要という話も出てきました。

また、両角先生からは「デモクラシー(Democracy)を民主主義と訳すのは間違いなのではないか。ismではない。Way of lifeの方が正しいのではないか。」とのご指摘がありました。能條さんからも「政治体制ではなく、あり方としての民主主義にする。日本では事例を作るしかない。」と共有があり、新たな視点をいただきました。

またZ世代として、能條さんから「自分ごと」についてこんな意見がありました。

「今、SDGs でいいことするのがAO入試に良い、というノリになっている。自分が社会を俯瞰するときに、そこに自分がいない。社会に自分がいるから生まれるモヤモヤが大切。当事者だということが大切。近くの人(課題のありそうな人)を知るのも大切。」

 

この対話で生まれた多くの「問い」を学会として引き取り、今後も議論を深めていきます。

「ユース・エンパワーメント:18歳成年時代の若者は、市民としてどう育っていくのか」というテーマで、多角的に、多様なゲストの方々、参加者の方々と語り合えてとても贅沢な時間になりました。さまざまなバックグラウンドをお持ちの学会の理事、事務局の皆さんと共創させていただく機会も貴重なものでした。

ご一緒してくださった皆様、貴重な機会に感謝です。ありがとうございました。